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「ザンビア出国ナミビア入国」アフリカ大陸縦断の旅〜ザンビア編➉〜

 2018年9月15日午後5時頃、無料バスに乗り遅れ、4人合わせて残金300円の状態でビクトリアフォールズに取り残されかけていた私たち。しかし、昔日本人にお世話になったという運転手が現れたことにより、何とか宿に帰れることになりました。そして、ザンビア最後の夜にザンビーフを食して迎えた次の日、ナミビアはウィントフックまで移動するためにバスに乗ったのでした。そして、そこで私に待ち受けていたのはグラマラス女性の間、残された0.6席。そんな中、バスは20時間越えの旅に出発したのでした。

 左からも右からも、グラマラス、私、グラマラス、という並びの最後列は、他の乗客たちが荷物の整理などを終えて落ち着いた後も、ガサゴソと動いていました。というのも、3人とも定位位置の確保に手こずっていたのです。背もたれを倒し、荷物を動かし、ケツを動かしました。しかしながら、どうやっても体の一部が100%触れ合う関係。Y氏はいち早くその状態の私に気付き、振り返りながら大爆笑。S氏とぴょんすにも小声で報告し、振り返って笑う3人。鼻に皺を寄せて、首を振る私を見て大盛り上がり。

「ほんま、Excuse me・・・」

 腕がギリ触れ合うところでやっと落ち着いた3人。私は両隣に会釈と苦笑いをした後、どこに焦点を当てるわけでもなく、真っ直ぐ前面を眺めていました。

 冷房機能が損なわれているのか、グラマラスの熱量か、段々と上がっていく体温。わずか数時間で半分ほどに減ってしまった貴重な水。眠れるはずもなく、ただただ目を瞑ってどれほど時間が経過したのか、私たちはザンビアとナミビアの国境に辿り着いていました。

 荷物はバスに乗せたままで良いとのことで、身軽なまま出入国審査へ。 そんなことより早く逃げ出したい、ということで順番的には1番最後に降車するはずでしたが、私は先頭集団に食い込見ました。念願の車外、ようやく解放され、大袈裟にも両手を広げて深呼吸。

「めっちゃオモロい席やったやん!おめでとう!」

「まだ半分以上も残ってるのキツいっす。」

 と愚痴をこぼしながら、ザンビア出国のスタンプを受け取り、先に荷物を乗せて入国したバスの背中を重たい足取りで追いました。

 そして、荷物はぶちまけられていました。


「何これ。どういうこと?」「置いて行かれた?」「でも俺ら以外の荷物も残ってるよ。」

 地面に雑に放り出されたと思われる乗客たちの荷物を前に、状況が飲み込めずにいた私たち。しかし、ザンビア出国を終えた他の乗客たちは、当然のように自分たちの荷物を探し、ナミビア入国に向けて歩き出していました。

「バスあるってこと?」「とりあえず付いていくしかない。」

 訳のわからないまま、私たちも少し凹んだバックパックを持ち上げて、同じバスに乗っていたであろう乗客の跡を追いました。彼らを見失わないように、ナミビア入国審査の列に並ぶ私たち。

「早めにここ抜けたいな。」

 しかし、そんな私たちの思いは職員に届くことはありませんでした。待ち人が多いにも関わらず、私たちが並んでしまった列の窓口で働いている職員は後ろを向き、パソコンの大画面でYouTubeを見て仕事放棄。たまにこちらを振り返り、適当にスタンプを押して何人か捌くと、また娯楽に戻る始末。

「あんなん誰でも通れるやん。笑」

「日本だったら考えられないよね。」

 私たちもパスポートを確認されたのか分からない速度でナミビア入国スタンプを貰いましたが。結局、目印にしていた人たちは見失ってしまいました。それでも、あるかもしれないバスを探しに建物の外に出ました。すると、そこには先ほどまで乗っていたミニバンではなく、しっかりした大型バスが停まっており、その周囲には見覚えのある顔が数人。

「これじゃない?」「これであることを祈る。」

 案内していたスタッフ的な人に尋ね、チケットの確認が終了。すでに冷房がかかった車内、そして私にとって何よりの喜びは、座席指定ないということ。2人ずつに分かれた私たちは、前後を選び、安心安全の移動が保証されたのでした。

「(よし、格上バスに乗車成功。グラマラス回避。)」

 冷房が効きすぎていたせいで、寝て起きてを繰り返しながらも、寝袋をかぶった私は、1席分を目一杯使って適な眠りにつきました。

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