「チャリ旅の開幕〜目指せケープタウン〜」アフリカ大陸縦断の旅〜ナミビア編③〜
2018年9月17日お昼前、2店舗目で自転車を物色していた私たちでしたが、そこには店主も言う通りのオンボロしかなく、結局1店舗目のサイモスに戻ることになりました。しかし、幸運にも1台しかなかったと思われた、私たちが目星をつけていた自転車と全く同じものが未修理の状態であるとのことで、すぐさま購入。さらに午後2時の修理終了までの間、スーパーに寄ってチャリ旅に向けた必需品を購入。そして、アフリカにて4人で食べる最後の昼飯。私とぴょんすは、Y氏とS氏への感謝を抱きながらファストフードをご馳走になったのでした。
午後2時前、宿に戻り水や食料のせいで重くなったバックパックを背負った私たち。再度オーナーに勇気と心配を受け取った私とぴょんすは、Y氏とS氏と共に改めてサイモスへ向かいました。しかし、これほどアフリカとは思えぬ国でさえも、さすがのアフリカンタイム。30分以上は待たされ、ようやく2台のチャリを入手。試しに店内で乗車し、既存の1台と未修理だった1台の両方に問題がないことが確認できました。
そして、マッチョ店員たちにGood Luck をいただき、店外へ。
【チャリ旅のしおり】
・持ち物(1人当たり)
テント(ぴょんすのみ)、寝袋、ボディーシート、タオル2枚、下着何個か
クッキー、ウエハース、水8リットル、袋タイプの乾麺5個、現金1万円
・服装
私:少しでも荷物を軽くしたいとの思いから、靴や着替えなどを捨てると
いう暴挙により、茶色のセットアップ作業着に、中はすでに薄汚れた
ヨレヨレのタンクトップ1枚。そして、裸足にビーチサンダル。
ぴょんす:荷物はいくつか捨てていたものの、緑のセットアップ作業着
に、中はパーカーやら何やら。そして靴と帽子。
・計画
スタートは現在地であるナミビアのウィントフック。そしてチャリで数キロ走り『B1』という大きな道路へ。そこから、ヒッチハイクで南に進み、ケートマンスフープという多分そこそこ大きな街に到着。
そこで再度、必要物資を購入してチャリ旅開始。そのまま『B1』をさらに南下し、南アフリカに入国。その後、『7』という大きな道路をひたすらに南下し、ゴールである南アフリカの最南端、喜望峰を目指す。
ヒッチハイク500km、チャリ1000km、合計1500km。命を最優先にして、精一杯取り組むこと。
自転車に跨る私とぴょんす、それを温かく見守るY氏とS氏。そんな写真を1枚だけ撮影。
「ほんまに気をつけてな。何かあったらすぐ連絡してきてや!」
「ほんと気をつけて。無理しないように、楽しんで!」
「長いこと面倒見てもらって、ありがとうございました。」
「お世話になりました。ありがとうございました。」
「じゃあ、また日本で!!!!」
2018年9月17日午後3時、大きく両手で手を振り続けてくれたY氏とS氏を背に、私とぴょんすの新たな冒険が幕を開けました。
何度も言ってきた通り、初めての国外バックパッカーである私とぴょんす。調べ上げて立てた計画もほとんど上手くいかないアフリカ大陸。そんな心身ともに疲弊していく中で、瞬時に冷静な判断を下せるのか。これまでに育ててきた危機管理で乗り越えられるのか。いつも先陣を切ってトラブルを対処してくれていたY氏とS氏はもういない。食材は?体力は?睡眠は?治安は?数えればキリがないほどの不安と恐怖。
しかし、それは同時に未知の世界に足を踏み入れる高揚感を表していました。確実に崩壊して行くであろう知性、そこから得られる本能と好奇心。エチオピア以来の大きな衝撃をわずかながら期待している自分がいました。
私たちの門出を祝うように、いつもより近くに光る太陽。それを包む、雲1つない青空。段々と速くなるスピードに、体の中を通り抜ける冷たく乾いた風。少し体を震わせながらも、舵の役割を果たす重たくなったバックパック。軽快なリズムで回るタイヤ。少なくなっていく建物に、開ける見通し。時折、地図を確認しながら、B1を目指す私たち。
「もうウィントフックの中心は抜けた感じやな。」
「景色が全然違うわ。」
30分ほど経過した頃、予定通りB1に辿り着いた私たち。永遠に続きそうな1本道。終わりのない荒野。低い家が遠くに数件のみ。
「どうする?もうちょっとチャリ漕ぐか?」
「日暮れの前に進めるだけ進んどきたいところよな。」
この道の交通量など分かるはずもない私たちは、立ち止まるわけにもいかず、自転車を2台乗せられそうな車がやって来るのを、ゆっくり進みながら待つことになりました。