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シンプルがんもどきの作り方

cakes『おいしいをつくる料理の新常識』の明日の更新は「がんもどきの煮物」です。

豆腐系のメニューは「そそられない」のか、PV的には伸びない傾向があるのですが、こういう地味な料理こそ、たまに作っていかないと残らないので(消えてもええやんという意見もあるかもしれませんが)意識的に取り上げるようにしています。

さて、cakesに掲載する煮物のがんもどきは市販品を使っているのですが、がんもどきは自家製するとおいしい。こちらで作り方を紹介します。

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がんもどきにはもめん豆腐を使います。絹ごし豆腐でもつくれないことはないのですが、ちょっと扱いは難しくなりますよ。材料はもめん豆腐350gです。一パック=一丁ですが、この一丁という単位が曲者でして、定義がないため商品によって重さが異なるんですね。250g〜350gぐらいが現在の一般的な製品の一丁で、昔は400gが普通でした。ちなみに沖縄に行くとお豆腐屋さんでは1kgが今でも1丁と呼ばれていたりします。今回のレシピは350gです。

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はじめのハードルは豆腐の水切りです。豆腐の水を抜くことで味を凝縮させ、扱いやすくするのですが、皿に挟んで豆腐の重量の3倍の重しをして、冷蔵庫で2〜3時間置くというのが丁寧な方法。この方法は失敗は少ないですが、思い立ったらすぐにつくれない、という弱点もあります。そこでちょっと荒業ですが、今回は写真のように手で豆腐を崩し、厚手のキッチンペーパーで包んで、電子レンジ600wで1分30秒加熱し、手で絞ります。

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電子レンジがない場合は茹でても同じ様に水切りできます。

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この方法は豆腐田楽のように形を残したい料理には使えませんが、がんもどきや白和えなど豆腐を崩してから使う料理には有効です。

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必ず抜いた水の量を計ってください。100g以上あればOKです。豆腐をどのくらい水切りすればいいか、はつくりたい料理によって異なるんですが、がんもどきの場合は30%が理想。104gだと30%にはちょっと足りませんが、許容範囲です。

余談ですがこの水分、つい捨ててしまいがち。じつは味噌汁に入れるとおいしいので使ってあげてください。

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余裕があればすり鉢でよくすってから、具材を混ぜますが、そのままでも問題ありません。江戸時代の料理書『豆腐百珍』に掲載されているがんもどきのレシピは

十九、ひりょうず
豆腐の水気を切り、よくすってつなぎに葛粉を入れ、かやくにごぼう、銀杏、きくらげ、麻の実、また焼栗かクワイ一品を入れ、かやくを油で炒って適当な大きさの豆腐に包み、油で揚げる。うどんの粉をころもにするとよい。酒を煮詰め、おろしワサビか白酢にワサビの細切りを添えます。

というもの。具材を包むというのがちょっとおもしろいですが、大変なので今回はシンプルに具材としてしらす20gとつなぎに卵1/2個、小麦粉大さじ1を加えています。野菜を刻まなくていいので楽です。本来は精進料理なので卵は使わないと思いますが、現代風ということにしましょう。精進ではないのでしらすでうま味と塩気を足しています。まじめにつくるのであれば前回作ったひじきの煮物なんかが(冷蔵庫にあれば)混ぜるとすごくおいしいですよ。

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ボウルにすべての材料を入れて、ゴムベラでよく混ぜるだけで大丈夫です。よく混ぜると豆腐が潰れて、味が濃厚になります。

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適当な大きさに丸めて油で揚げます。

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油の温度は140℃〜150℃でスタート。中弱火でじっくりと10分程度時間をかけて揚げていきます。いきなりに箸で裏返そうとすると崩れたりするので、あまり触らないのがコツです。

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表面がカリッとしてきたら揚げ終わり。

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揚げたてのがんもどきは塩とすだちで食べるのが一番おいしい、と個人的には思いますが、生姜醤油で食べるのもなかなか乙なものです。豆腐百珍を気取って、日本酒を1/2量に煮詰め、薄口醤油か塩で味をつけたものに、わさびを溶きながら食べるのも気が利いてます。

このレシピの問題点は卵1/2個という中途半端な分量。残った卵は卵かけごはんで食べてください。豆腐を2丁にすればぴったり卵1個になるのですが、それだと2人前にはちょっと多いかな……と。実際には倍量作って、半分をジッパー付きの袋に入れて、冷凍しておけば煮物に使えるので楽なんですが、そこまでレシピにはなかなか書けませんしね。料理レシピの分量は今、2人前が普通ですが実際、食べる人が2人でももっとたくさん作って、アレンジしながら食べたほうが楽なんですが、このあたりが難しいところ。

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樋口直哉(TravelingFoodLab.)
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!