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玉ねぎのみじん切り考

今日は玉ねぎのみじん切りについて考えます。玉ねぎのみじん切りは切り方の基本の一つで調理師学校でも課題としてよく出されているか、と。(代々木にある某調理師学校でも課題で、試験中一人は指を切る学生がいたものです)慣れればなんてこない作業ですが、そうでないと面倒かもしれません。

世界の料理を見渡してみると玉ねぎのみじん切りが要求される場面はさほど多くなく、リゾットなどメインとなる食材(この場合は米)が玉ねぎよりも大きくなると困る、という場合に限られます。あとはコロッケ(この場合は肉やじゃがいも)とかですね。試しに煮込み料理などでみじん切り指定のレシピがあれば、薄切りに変えてみてください。味はさほど変わらないかと思います。日本でみじん切りがよく使われるのは日本の包丁がよく切れる、という理由もあるのかもしれません。

玉ねぎには刺激的な味と硫黄化合物に由来する独特の強い匂いがあります。これは動物に食べられないために玉ねぎが持った性質ですが、加熱すると肉を彷彿とさせるおいしさに変わり、様々な料理に深みを与えます。

玉ねぎのみじん切りのポイントは事前に冷蔵庫で玉ねぎを冷やしておくことです。たまねぎが傷つくことで放出される催涙成分は威力のある分子爆弾(マスタードガスが開発されるヒントになったくらいです)ですが、冷蔵庫で冷やしておくか氷水で30分〜60分冷やしておくと、酵素の働きが遅くなり、揮発性分子が空気中に飛散しにくくなります。(氷水に浸けておくと外側の皮がむきやすくなるというメリットも)

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今回の動画ではたまねぎのみじん切りの検証を行いました。

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Aパターンは通常通り「半分にした玉ねぎに切り込みを入れた後、横に切れ目を入れ、その後、みじん切り」にしたもの。Bパターンは「横に切れ目を入れる」工程を省いたものです。

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結果は見ての通り、ほとんど差がありません。多少、Bは大きさにばらつきがありますがこの後の調理によって失われる程度の誤差ではないでしょうか。横に切れ目を入れる工程は外側の大きな鱗片の一部を小さくする働きがありますが、内側の鱗片はもともと小さいため、効果として薄いのです。というわけで横に切れ目をいれる工程は省いてもいい、という結論に達しました。

ピースオブケイクの加藤さんは「みじん切りはぶんぶんチョッパーを使ったほうが合理的」と言ってましたが、みじん切りができないという人は専用の道具を買うのが簡単です。フードプロセッサーは取り出すのにちょっと手間がかかり、長い時間、回しすぎると玉ねぎがペースト状になってしまうリスクがありますが、手動式ならその点も問題ありません。

このように料理における技術的な壁は大抵、ガジェットでぶん殴れば解決することがほとんど。それに対して洗い物が面倒という反論が必ず出てきますが、ガジェット派はそれに対して「食洗機があるやないか」という反論を用意しています。それに対して買う金がない、置き場所がないなどの意見が想定され……おそらくこの溝が埋まることは永遠にないでしょう。大事なのは料理という結果なので、どちらでもいいので、自分のスタイルにあった方法を選びましょう。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!