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アルティメット揚げ出し豆腐の作り方

夏は冷奴という感じですが、ちょっと温かい豆腐もいいもの。揚げ出し豆腐はポピュラーな料理ですが、ポイントがいくつもあります。よくある失敗例は『衣がはがれてしまった』というもの。豆腐の表面に付着している水分をよく拭き取っておかないと衣が剥がれます。衣は葛粉を使うとおいしくカリカリ感も長持ちしますが、剥がれやすいので、お店ではまず片栗粉で表面を覆ってから、次に葛粉をまぶしたりします。以前、唐揚げの作る時に小麦粉→片栗粉のダブル使いをしましたが、それと同じ技法ですね。

ところで、究極的においしい揚げ出し豆腐とはどんなものでしょうか。それはもちろん豆腐の味が生きたものですよね。究極の揚げ出し豆腐をつくるために衣を変えたりと色々と試してみても、結局衣の味がよくなるだけです。これでは究極の揚げ出し豆腐への道は遠ざかるばかり。

そこで日本料理の技法を応用した『衣レス』揚げ出し豆腐の作り方をご紹介します。僕のレシピはいつも作り方は面倒ですが、工程自体は簡単というものが多いですが、この料理に限っては工程に難しさがあります。レシピをよく読んでからお試しください。

アルティメット揚げ出し豆腐
絹ごし豆腐  一丁
かけだし(もしくはそばだしを使用)
出汁    80cc
醤油    20cc
みりん   20cc
大根おろし 適量
青ネギ   適量

まずはmain ingredientである豆腐です。究極の揚出し豆腐を目指すわけですから、絹ごし豆腐のいいものを使います。もめん豆腐は崩れにくいですが、表面のカリカリ感と内側の滑らかさの対比を表現するには絹ごし豆腐が最適。

分量外の塩を両面に薄くふりかけ、キッチンペーパーで包みます。豆腐はほとんどが水分なので、それを抜くことで扱いやすくします。また、塩を加えることでこの後、加熱した時に凝固剤の働きを抑え、なめらかな仕上がりに貢献します。

バットやまな板など平らなものを上に載せて、おもり500gをして冷蔵庫で20分間以上、水抜きします。この工程をきちんとしておかないと後から上手に揚がりません。

水分がこれくらい出れば大丈夫。あまりに水分を抜きすぎるのも考えものですが重しをこれ以上重くしなければ抜きすぎるという自体はあまりないかも。少なくても20分、1時間くらい水抜きに時間を費やしても平気です。

豆腐は小さめに切り、強火で熱した油に入れていきます。衣をつけていませんが、表面の水気がなければ跳ねたりしません。おちついて丁寧に扱いましょう。豆腐を小さめに切るのは表面のカリカリの面積を増やすためです。口に入る大きさが目安。

火加減は終始強火です。豆腐から水分が出てくるので油の温度が下がりやすいからです。豆腐を崩さないように注意しながら、菜箸で転がすようにして豆腐を揚げていきます。

強火の短時間(5分程度)で揚げれば表面はカリカリになります。豆腐の中心温度が90℃を超えるとスが入るので、それより前に表面にきつね色をつけることが目標です。

片栗粉や小麦粉の衣をつけなくても、カリカリに揚がります。できたての厚揚げっておいしいんですよ。いわば豆腐の衣ですから味を損ねるようなこともありません。衣を使ってないので、衣がはがれるという失敗はありませんが、カリカリに揚げるためには事前に水分をきちんと抜いておくことと、やや高温で揚げるの二点がポイントです。

ここに塩をつけて食べるのが一番おいしい食べ方……なのですが、今日は揚げ出し豆腐に仕立てます。切るとこんな感じ。表面のカリカリ部分と内側のなめらかな部分のあいだにかけだしが染み込むからおいしいわけですね。

でき上がり。急いで食べないとカリカリ感がなくなります。というわけでかけだしをかけるのは食べる直前に。

ご飯のおかずというよりもお酒のおつまみという雰囲気の揚げ出し豆腐です。料理のなにを表に出すか、という点を考えると豆腐の味は衣はないほうがいきます。とはいえ、衣が悪いわけではなくてご飯のおかずにするならあったほうが親しみやすいですよ。ところで、この揚げ豆腐、味噌汁に落としてもおいしいので、テクニックとしてマスターしてください。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!