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チャーハンの作り方

チャーハンはいつかは取りあげたいと思っていたのですが、こだわりを持つ人が多いので躊躇していた料理でもあります。ご自慢の中華鍋を使い、格好良く鍋を煽ってつくりたい方もいるでしょうが、ここでは家庭用として一般的な26cmのテフロン加工フライパンを使い、シンプルな卵チャーハンを作ります。

チャーハンに簡単にコク味をつけてくれる食材がラードです。ラード100%でつくり、味の素を一杯振りかけると懐かしの中華料理風の味になりますが、今回はもう少し洗練された仕上がりを目指します。

秘密はネギ油。

ネギ油
ねぎ 青いところ 1本分
玉ねぎ  20g
生姜  10g
ラード 100cc
サラダ油 100cc

昔はネギ油もラード100%で作ったようですが、最近は植物油を混ぜるお店も多いようです。

作り方は簡単です。ネギの青い部分のぶつ切り、玉ねぎ(先端とお尻の部分を使っています)、生姜(皮付きのまま厚めのスライス)を小鍋で軽く炒ります。

表面の水分が飛んだところで油を加えます。

ラードが溶けて泡立ってきます。この段階で油の温度は90℃ほど。火を弱火に落としてゆっくりと加熱して香りを出していきます。

人によってどこまで焦がすか、というのは見解が分かれますが、個人的にはこのくらいがベスト。弱火で20分間加熱しました。火加減によっては15分くらいでもこの状態になるか、と思います。

漉せばネギ油の出来上がりです。スープの香り付けや炒め物の仕上げに使います。

チャーハン作り

さて、準備ができたところでチャーハン作りです。チャーハン作りのコツは米の粘りを出さないことです。粘りが出てしまう原因は2つあり、1つは水分。米に水を入れて煮るとデンプン糊ができますよね? あれが粘りです。

もう1つは米を潰してしまうこと。米を潰せば餅状になりますが、あれも粘りを利用したもの。一生懸命炒めようと木べらで米を潰してしまっているケースが多々、あります。

チャーハン(2人前)
冷やご飯  400g
卵     2個
ネギ油   大さじ2 
ねぎ    半本(50g)
塩     4g
醤油    小さじ1/2

チャーハンは硬めに炊いたご飯とよく言いますが、このチャーハンでは普通に炊いたご飯を冷蔵庫で一晩から二晩寝かしたものを使います。炊きたてのご飯を使うべき、という人もいますが、パラパラ感を出すためには表面の水分を飛ばしておきっます。冷蔵庫で冷やすとデンプンが表面の水分を吸収した状態になります。なお、この場合に米同士が重なっていると水分が飛ばないので、写真のように平たく伸ばしておくのもコツ。

ネギ油は冷めるとこんな風にラード分が固まるので、混ぜて使います。

ネギのみじん切りはこんな風にネギを断ち切らないように斜めに包丁を入れていきます。

裏返して反対側にも同じように斜めに包丁をします。

あとは半分に切って、端から切っていくだけです。

卵を割って、溶いておきます。

冷蔵庫で冷やしたご飯が冷たいとフライパンの温度が下がり、卵の水分が飛ばずにべったりとした仕上がりになる原因になるので、電子レンジであらかじめ温めておきます。これくらいの分量であれば600wで3分ほど。鉄製の中華鍋と違って、テフロン加工フライパンですからこれくらいの手間はかけたほうが仕上がりが安定します。

塩も計っておきましょう。味の素を使う場合は塩の量を減らすことができますが、使わない場合には米の1%が目安です。

フライパンを火にかけて、ネギ油大さじ2を溶かします。

充分に温まったところで卵を投入し、、、

すぐにご飯を加えて混ぜていきます。卵の油脂分やネギ油が米粒の周りをコーティングすることでパラパラ感が出るので、卵が完全に固まる前にご飯を投入するのがコツです。パラパラ感を重視する場合には米と卵をあらかじめ混ぜておく方式(黄金炒飯)もありますが、その方式だと米の周りを卵が完全に覆ってしまい、パサパサ感が出てしまうので、このあたりは好みです。

あらかじめ冷蔵庫で寝かせることで米の表面の水分を飛ばしてあるので、すぐにパラパラになるはずです。

中華鍋でチャーハンを作る場合、お玉で米を押しつけるようにして火を通すのが一般的ですが、テフロン加工フライパンの場合に限ってはそうする合理的な理由は見当たりません。それよりもテフロン加工フライパンの底面積に対して、適正な量の米を炒めることのほうがずっと重要です。乱暴に米を炒めると米粒が潰れ、それが粘りになるのでパラパラ感が損なわれます。そこでご飯を混ぜる時は米を切るように混ぜましょう

考え方としてはこうです。例えば酢飯は米に酢という水分を加えることでべたついてしまうので、切るように混ぜ、団扇で仰ぐことで表面の水分を飛ばしていきます。そうすることで粘りを出さないのです。

求めるパラパラのレベルは違いますが、チャーハンも同じように米の粘りを出さないのがポイントです。チャーハンは卵の(特に白身に多く含まれる)水分が加わることでご飯がべたっとしてしまうわけですから、強火で加熱することで卵の水分を飛ばしつつ、米を切るように混ぜて表面の水分を飛ばしていけばいいのです。

かといって炒めすぎは厳禁。米から水分が飛びすぎると今度はバサッとした食感になってしまいます。そこで、この状態になれば火を中火に落としてしまいましょう。本職の中華料理人は鍋を煽って、鍋肌の温度を下げていますが、米をべたつかせる卵の水分さえ飛んでしまえば、その後の作業を強火ですすめる必要はないのです。

ネギを加えます。

塩で味付け。この状態で加熱しすぎると今度はネギから水分が出てきて、パラパラ感がなくなってしまうので注意。火がよく通ったネギの味が好き、という方は半量を香ばしくなるまで炒めてから投入しても。

最後に香り付けとして醤油を加えて完成です。

写真からでもパラパラ感がわかるか、と思います。パラパラしつつも、米の内側には充分水分が残っている状態が理想です。また、中華料理の世界では卵に焦げ目がついてはいけない、と言われているので、この写真のチャーハンは70点といったところでしょうか。シンプルな卵チャーハンもこだわりはじめるとなかなか奥が深い料理ですね。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!