見出し画像

本気のほうれん草のバターソテー(とおまけ)

冬においしいほうれん草。バターソテーは定番のつけ合わせ。

ほうれん草のバターソテー(1人前〜2人前)
ほうれん草の葉   140g
バター     10g〜20g
にんにく    1片
ナツメグ    少々(あれば)
塩、胡椒

買ってきたほうれん草がしんなりしていたら水を張ったボウルに活けます。

ビニール袋で覆い、冷蔵庫で保管。毎日、水を替えれば一週間は持ちます。(糖度は徐々に減少していきますが)この方法、あらゆる葉物の野菜に使えるので憶えておくと便利ですが、ほうれん草は糖度がおいしさの決め手の野菜なので早めに調理した方が無難です。

一晩経った状態がこちら。このほうれん草をザク切りにしてバターで炒めれば普通のバターソテーですが、本気でつくるなら次の作業を行います。

フランス料理のキッチンではわりと当たり前に行われている作業(ですよね?)ですが、茎と葉をわけるのです。

こんなふうに引っ張ると硬い葉脈が除去できます。

葉っぱはさらに溜め水でよく洗います。茎と葉脈を除去するだけで、舌触りがまったく違うので必要な一手間です。

炒める前にフォークにニンニクを差しておきます。ナツメグは今回、パウダーを使ってますが、ホールを直前におろしたほうがベター。なければ省略できますがほうれん草には定番のスパイスです。

厚手の鍋、またはフライパンにバターを入れ、中火にかけます。写真のバターの量は10gですが20g以上使ったほうがおいしくできます。

バターが泡立ってきたら……

ほうれん草を投入します。バターを焦がしてからほうれん草を投入する人もいますが、海藻を思わせるほうれん草の香りが損なわれてしまうのであまり高温にしないように。

鍋底に接しているところから火が入っていくので、木じゃくしで混ぜながら加熱します。

30秒ほど混ぜ、しんなりしてきたらニンニクを差したフォークでかき混ぜます。このニンニク自体は食べません。ほんのりとした香りをつけるためだけに使います。ポイントは炒めすぎないこと。ほうれん草のバターソテーが水っぽくなるのは加熱のしすぎによるもの。ほうれん草を炒めるのに高温は必要なく、写真の状態では鍋底に水気が少し浮いていますが、つまり加熱温度が100℃を越えてないということ。ほうれん草は低温で加熱した方が細胞壁が壊れず、シャキシャキ感が残ります。

火を止め、胡椒とナツメグを振り、それから塩を加えます。ほうれん草はミネラル分が多く含まれているため、塩気を強く感じやすい野菜。塩と胡椒は控えめに。ジョエル・ロブションのレシピにナツメグではなくおろしわさびをいれたバージョンもあるのでアレンジはお好みで色々とできそうです。

ほうれん草のバターソテーの出来上がりです。つけ合わせに、あるいは半熟のゆで卵を添えると一品料理になります。

アクが心配という方もいますが、シュウ酸は水溶性のためバターでコーティングすれば感じにくくなります。バターソテーは実に合理的な調理法なのです。日本料理ではほうれん草は必ず茹でるのでアクとともに味も一緒に水に流れてしまいますが、バターソテーは味が抜けないので濃厚な味わいが楽しめます。

また、シュウ酸は結石の原因となるのが心配という人もいますが、ほうれん草に含まれるシュウ酸は大量に摂取しなければ問題ない量です。結石にならないためには特定の食べものを避けるよりも、食生活全体のバランスを整えるほうがずっと重要。

さて、茎が余りました。お店ではこの部分は賄いで食べたりしましたが、根本に強い甘みがあるので別に料理しましょう。

根本を半分か4分の1にカットして、よく洗います。土が入っているので念入りに。

バターソテーしてもいいですが、オリーブオイルで炒めてみましょう。フライパンにオリーブオイル大さじ1、にんにくひとかけを入れて弱火にかけます。

にんにくが色づいたところで根本を投入。

バターと違ってオリーブオイルには水分が含まれていないため水大さじ1を加えます。

蓋をして蒸し焼きに。

柔らかくなれば出来上がり。塩、胡椒で味をつけます。

こちらは100℃の水蒸気で加熱するので柔らかく仕上がり、これはこれでおいしいです。ただし、加熱しすぎには注意。パスタにしてもいいのですが、今回はそのまま皿に盛りました。

まとめです。ほうれん草は葉と茎の火が入る時間が異なるので別々にして加熱するのがベター。葉の厚い縮れたほうれん草の場合は蒸してから炒めることもありますが、原則的には生から炒めた方がおいしくできます。お浸しとは違った力強い味がバターソテーの特徴。一度、葉と茎をわけて調理してみてください。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!