基本のガスパチョ風冷製トマトスープの作り方
スペインを代表する冷製スープのガスパチョ。今では夏の定番になりましたが、つくるならトマトがおいしい今の時期です。(夏場はトマトの味が落ちるので若干、作りづらい)ガスパッチョではなく、ガスパッチョ風なのはつなぎとしてのパンが入らないため。
今回は〈基本の〉とタイトルにつけたもののスペインで作られているような王道スタイルではなく、洗練されたロブションスタイルのガスパチョです。結構前のレシピですが『シンプルさ』『洗練』『エレガント』というロブションスタイルの特徴がよく出ていると思います。
トマト 500g相当
トマトジュース 200cc(有塩でも無塩でも可)
シェリービネガー 大さじ1(またはワインビネガー大さじ1)
トマトペースト 36g(大さじ2)
タバスコ 2滴
塩 少々
クルトン 適量
バジル 適量
大きな特徴は生の玉ねぎとニンニクが入らない、という点。玉ねぎとニンニクを省くことで太陽を思わせるトマトの味がくっきりと全面に出てきて、爽やかな味になります。また、トマトペーストを入れて味を支えている点も興味深い部分です。トマトの味は結構、日によって差があるので、有効だと思います。もちろん、すごくいいトマトが手に入ればトマトペーストは量を控える(あるいは省略する)こともできます。
本家本元のルセットとの違いは2つ。ビネガーの量を控えたことと、水をトマトジュースに変えた点です。日本のトマトを使うと色がきれいに仕上がらない場合があるのですが、トマトジュースを入れることで仕上がりがさらに安定します。
トマトは湯剥きしておきます。あとでミキサーにかけてから漉すので省略できそうなのですが、むしろ漉すのが手間なので皮を剥いてからミキサーにかけた方が楽です。湯剥きしたトマトはざく切りにしておきます。
クルトン以外のすべての材料をミキサーに入れ、撹拌します。ビネガーの酸味があるので塩はふたつまみくらいで、味はまとまります。塩分は控えめにしておいたほうが失敗が少ないかもしれません。
この時、撹拌のしすぎに注意。トマトの種が潰れるほど回してはいけません。ザルで漉すので適当なところで止めて大丈夫です。
ザルで濾して、種を取り除きます。昨日のグリーンピースのスープのときは裏ごし器を通しましたが、トマトの場合はすでになめらかなのでザルで大丈夫(本来はシノワという漉し器を使います)レードルの背でぐるぐるしていればあっという間に漉せます。
ここが最大のポイントなのですが冷蔵庫で1時間以上冷やします。
するとトマトからミキサーにかけた時の空気が抜けて色が濃くなります。白っぽいガスパチョよりもこっちの方がおいしそうに見えます。
冷蔵庫に入れておくと分離するので、レードルで空気を入れないように混ぜて均一にします。濃度はこのくらい。グリーンピースのスープよりも若干濃い目。スプーンで食べやすいくらいが目安です。
器に盛り付けて、クルトンを載せます。
オリーブオイルをドットになるように落とします。スポイトを使うと簡単です。
本当はバジルの葉を添えるのですが、なかったのでフェンネルの葉を入れています。パセリでもなんでもなんらかの緑を添えると赤い色が映えると思います。ちなみに僕はここにマスタードのアイスクリームを落としたレシピを夏によくつくります。
余談ですが、トマトペーストはこちらの製品を使っています。個包装されているので便利です。一袋が大さじ1なので計量しなくてもいいですし。
さて、本来のガスパチョはパンが入るのが定義です。19世紀以前、ヨーロッパにトマトが入ってくる前までのガスパチョはパンと水、ニンニク、酢などでつくったもの。イギリスのシェフ、ヘストンブルメンタールは〈本来のガスパチョにはトマトが入らない〉という点からヒントを得て『紫キャベツのガスパチョ マスタードアイスクリーム添え』を発表しています。このあたりの歴史的な経緯にも新しいレシピを創造する余地はありそうですね。
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!