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素朴なりんごのタルト

りんごのシーズンです。ここは一つ、昔、食育通信onlineに掲載したりんごのタルトのレシピを。まずはタルト生地から。

タルト生地
強力粉 150g
塩   小さじ2分の1
バター(無塩) 75g
水 60cc
(酢 opition 小さじ1)

これ以上ないほどシンプルな配合です。英語でいうとショートクラストペストリーという名前の塩味のタルト生地です。ここに砂糖と卵黄が入るとパートシュクレというリッチな生地(配合としては小麦粉:2、グラニュー糖:1、バター:1、小麦粉75g〜80gに対してつなぎの卵黄が18g=L1個分という感じ)になります。

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生地づくりのポイントは弾性を調整する=グルテンをつくらない」ことです。生地の弾性は水分の割合とグルテンがどれくらい生成されたか、で決まります。水分の調整はわりあい簡単で、水が足りないと生地が硬く伸びないので、水を足せばOK。逆に水が多すぎて生地が流れるようであれば粉を足せば大丈夫です。

グルテンに関しては天ぷらをつくるときと同じで、捏ねないこと。また、小麦粉と水分を冷やしておくことも重要です。小麦粉が水分と出会うことでグルテンが形成されるので、先に脂肪分を混ぜておきます。脂肪が小麦粉を覆ってしまえば水を弾くのでグルテンが出にくい、というわけ。脂が多いほど生地のキメが細かくなります。

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フォークでバターを潰すようにして、小麦粉+塩と混ぜていきます。フードプロセッサーがあれば数秒回すだけでこの作業は終わります。

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塊がなくなるまで粉のなかに混ぜ込みます。手で手早くこすりあわせるように混ぜてもOK。ただ、バターが溶けないように手早く行います。目安はバターを含んだ粉の直径が1mm以下になること。パン粉状と表現する人もいます。

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冷水+酢を加えてひとかたまりにしていきます。酢はグルテンをしなやかにする作用があるので加えていますが、省略することもできます。

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水はよく分散させるように少しずつ加えるのがポイント。水分が多い場所があるとそのまま沸騰して、水ぶくれのような焼きムラができます。水分を入れたら底から返すようにしてなじませていきます。

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粘り気が出てきたら、水分をいれるのを止めます。分量は一応出していますが、加える水分量は気温や湿度、小麦粉が含んでいた水分などによって微妙に変わります。全体に行き渡ったら、手でそっとまとめます。

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この時、グルテンが出来ますが、少量のグルテンは生地をまとめるのに必要です。ラップでまとめるようにすると手が汚れません。

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一つにまとめました。冷蔵庫で15分〜20分休ませます。この時間を置くと水分が全体に行き渡り、生地が安定します。

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ペーパーで挟んで生地を伸ばしていきます。

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麺棒がなかったのでワインの瓶で伸ばしていますが、この時手前から奥へ一方通行で伸ばすのもコツです。一回伸ばすたびに少し休んだほうがグルテンの生成が少なくなります。そのため、一度伸ばしたら生地を90度回転させ、縦、横という具合に伸ばすようにします。

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3mmの厚さに丸く伸ばしました。また、生地を10分ほど休ませます。すぐに焼くと縮む原因になります。ま、このタルトは縮んでも大勢には影響しませんが。

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そのあいだにりんごを準備しましょう。りんご以外にも様々なフルーツが使えます。

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頭とお尻を切り落としてから、皮むき器で剥いていきます。

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半分に割って硬い軸をとりのぞきます。

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芯抜き機があれば抜いてから半分に切ってください。でも、うちにはないのでスプーンで種と硬いところをとります。

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2mmの厚さにスライスしてさきほどのタルト生地に並べていきます。

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きれいに並びました。

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余った縁を内側に織り込みます。このやり方は型などを使わない素朴な方法です。

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砂糖を大さじ2ほど振ります。今日はきび砂糖を使いましたが、どんな種類でもかまいません。170度のオーブンで55分焼きます。

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焼き上がりはこちら。そのままでもいいのですが熱いうちに表面にマーマレードを塗りました。艶出しのためです。一番おいしいのはあんずのジャムですが、いちごジャムやラズベリージャムでもOK。

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出来上がり。粗熱がとれたところを切り分けて食べます。甘さ控えめなのでバニラアイスなどを添えると美味です。

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このタルト、型を使わずにできる家庭的な方法ですが、味は抜群。グルテンを出さないことを強調しましたが、イギリスのパイなどは水ではなく湯を使って練り、硬い食感を出す場合もあります。いろんな生地があるので、色々と試すのも楽しいでしょう。

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樋口直哉(TravelingFoodLab.)
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!