神奈川丹沢の鹿ロインのロティ_ポワーブルソース

月額マガジン『樋口直哉の食と生活』について

こんにちは。僕(=樋口)は作家として文章を書いたり、料理家として料理したりしています。で、このたび月額マガジンの申請が通ったので、更新していくことにしました。月4回(基本、月曜日)、更新していく週刊連載方式です。

無料マガジンとなにが違うか?

無料マガジンではレシピと調理法を中心に更新していますが、有料マガジンでは料理についての考え方や飲食店や外食産業のことなど、僕が日々食べている料理について書いていくつもりです。

なんで有料やねん、というのは疑問に思われるかもしれませんが、僕は一応、業界内の人間なので、他の人がつくった料理についてとやかく書くというのはあまりいいことではないんですね。僕が尊敬する辻静雄先生(辻調理師専門学校の創設者)は日本国内では『吉兆』と『マキシム』しか行かなかったそうです。日本中の店に卒業生がいるので、どこかに行く=どこかに行かないということになるので、国内のレストランでは食事をしなかったらしい。自分は辻先生ほど偉くはないですし、評価できるような立場でもありませんが、どこかに食べた! という話は(プライベートは別として)あまり書かないようにしています。

とはいえ。

なにかを食べることって、やっぱり勉強になるんですね。僕は書くことによって、色んなことを学んできたので、自分が勉強してきたことはやっぱりどこかに書いておきたいな、と思いました。ただ、あまり広く読んでもらうよりも、深く知ってもらいたい内容なので、月額マガジンという方式にしました。

もう一つは料理についての自分の考えを書いてもいい年齢になったのではないか、という気持ちもあります。

料理の業界って本当におかしな世界なので、例えば『どこそこのお店がおいしかった』と書いたとすると『あの店をおいしいと言うとは味がわからない奴だ』とか言う人が必ずいるんですよ。ま、誰かになにかを言われても気にしなくなったということもかもしれません。

『樋口直哉の食と生活』という(若干、恥ずかしい)タイトルはピース オブ ケイクの加藤貞顕さんにつけてもらいました。このタイトルからわかる通り、いわば食日記です。単純に「オススメの店!」というような話ではなく、もう少し分析的な内容になると思いますが、食べ物に興味がある方が読んだら「ほー」と思ってもらえるのでは、と思います。例えば以下のようなものを書くつもりでいます。

・食べたものの分析
・取材先で出会ったおいしいもの
・仕事についてのよもやま話

仕事についてのよもやま話は企業さんから依頼された案件などの表には書きづらい話を中心に書いていきます。あとは飲食業界の動向についてですね。同業者が読んでも参考になるような記事を更新していきたいと思います。外食産業に興味がある方にも読んで欲しいです。書いたものを読んでもらうことで業界の健全な成長に貢献したい、という想いもささやかながらあります。

料理は時々、アートにも例えられますが、現代アートって文脈とか歴史を知らないと意味がわからないじゃないですか。食べ物もそれと似ていて、知らないと楽しめないジャンルなんですね。例えばミシュランの星についても「なぜあそこに星がついて、ここにつかないのか」というのも理由があります。(あくまで僕の推測ですが)そういうのを知ってからお店に行って、食事をすると面白いんです。単純においしい、まずい、好き、嫌いという話を越えて、料理を楽しめるようになる。

例えばこの記事のトップ画像は神奈川県の山中で猟の取材をしたときに分けていただいた鹿肉のローストです。(僕が作りました)ハスカップのソースをかけて、山わさびを添えています。これは見ただけでわかる人が見れば「あー、あのお店からの影響ね」と思うか思うのですが、そういうところがわかってくると料理って面白いんですよ。

さて、定期購読マガジンのシステムがまだ完全には理解できてないのですが、更新(基本的に月曜日更新を予定しています)はきちんとしますので、そろそろとはじめたいと思います。ではでは。

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樋口直哉(TravelingFoodLab.)
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!