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染みてしっとり長持ち! 秋鮭の漬け焼き

今回ご紹介するレシピは、秋鮭を使った漬け焼きと、付け合わせのレンコンの酢漬けです。調理液に鮭を漬けておけば、当日でも翌日でも美味しく食べられます。味が染み込み、身がしっとりとした焼鮭は、ご飯が進むこと間違いなしです。

スーパーに「秋鮭」が並ぶ季節になりました。鮭は年中あるのに「秋鮭とはこれいかに」という感じですが、鮭には様々な種類があり、おいしく食べるには前知識が必要です。日本で流通している主な鮭をざっと挙げるだけで

春から夏にかけてのとき鮭(白鮭)
今の時期に産卵のために沿岸に戻ってくる秋鮭
ロシアやアラスカから輸入されている紅鮭
チリや日本の三陸沖などで養殖されている銀鮭
カナダやアラスカから輸入されているキングサーモン
ノルウェー産のアトランティックサーモンやトラウトサーモン

などがあります。産卵を控えた秋鮭は脂肪分が少なく、味はあっさり目です。普通に塩焼きにするとパサつきがちなので、漬け焼きにするのがオススメ。調味液に漬けるだけで身がしっとりとし、じんわりとした美味しさに変わります。今は新米の時期なので、炊きたての白いご飯と一緒にどうぞ。あしらい(付け合わせ)にレンコンの酢漬けを添えました。

鮭の漬け焼き

材料(2人前)
鮭 切り身…2枚
しょう油…50cc
酒…50cc
レンコン…150g(小1節)
酢…100cc
水…100cc
砂糖…大さじ3
塩…小さじ1
赤唐辛子…適量

1.レンコンは皮を剥き、大きいレンコンは半分に切り、1mmの薄切りにする。水で表面を洗い、たっぷりの熱湯で10秒茹で、冷水にとる。ザルなどで水気を切り、ボウルに酢、水、砂糖、塩、赤唐辛子を混ぜ合わせたもの(三杯酢)に2時間以上漬け込む。

2.鮭の切り身は冷水で洗い、キッチンペーパーで水気をふき取る。ビニール袋に入れて、しょう油と酒を加え、冷蔵庫で1時間以上置く(一晩置いても可)。

3.バットや網などに切り身を取り出し、漬け地を切る。魚焼きグリルを充分に熱したところに切り身を並べ、強火で4~5分間皮目に焦げ目がつくまで焼く。器に盛り付け、レンコンの酢漬けを添える。

魚を買ってきたけど今日は調理できない、という時は…

魚をフライパンで焼く方法は以前、この連載でもとりあげましたが、今回は魚焼きグリルを使います。

ガスコンロについている魚焼きグリルは優れた道具。その理由は加熱メカニズムにあります。魚焼きグリルを熱すると庫内の温度は両面焼きの場合は400℃~450℃、片面焼きグリルでも300℃~350℃に達します。家庭用のオーブンの最高温度が250℃~300℃であることを考えても高い温度。この温度によって食材を効率的に加熱できるのです。

魚を焼く前に使い方にコツがあります。まず1〜2分ほど予熱で庫内、および網を充分に熱しておくことです。魚焼きグリルを使っているとよく魚が網にくっついたりしますが、予熱をしておけば網に置いた瞬間にタンパク質が凝固するため、この問題を回避できます。

両面焼きグリルの場合、基本的に底皿に水は入れません。両面焼きは裏返す手間がない、というメリットがあり、レシピの記載通りに4~5分焼けば大丈夫です。

片面焼きグリルの場合は水が必要なタイプと、必要がないタイプの2種類が存在するので、説明書や底皿を確認してください。片面焼きグリルは裏返す手間が必要で、両面焼きと比べると加熱時間が余分にかかります。このレシピの場合は表面を5分焼き、裏返して火を弱めて3分程度焼く必要があるでしょう。また、裏返す際に崩れるというリスクが増えるので、魚をより丁寧に扱う必要があります。

さて、話を調理器具から料理に戻しましょう。漬け焼きのメリットは日持ちすることです。魚を買ってきて「今日は焼かなくてもいいな」という時、調味液に浸けておくと翌日でも、おいしく食べることができます。鮭以外にもブリやサワラといった焼き魚に向いている魚であれば同様に作れますし、冷めてもそれなりに美味しいのでお弁当などにも向いています。

漬け地の配合はしょう油と酒が1:1が基本。そこに好みでみりんや砂糖を加えて甘みをつけることもできますし、柚子やすだちといった柑橘を一緒に漬け込むと風味もよくなるでしょう。

これは小さなコツですが、鮭の切り身は厚い部分と薄い部分があるので、端を丸めて焼くと火の通りを均一にすることができます。

焼き魚に添えるのが「あしらい」です。大根おろしが定番ですが、こんな風に三杯酢につけた野菜も活躍します。今回はレンコンを使いましたが、半割にしたみょうがやカブなども同様に料理できます。自家製するのが面倒という場合は市販されている甘酢漬けの生姜(ガリ)を添えてもいいでしょう。あしらいは他に豆やサツマイモ、銀杏の蜜煮であったり、夏場であれば焼いた甘唐辛子などが使われます。あしらいは主素材を引き立て、季節感も感じさせる名脇役。こういったものがあると食卓が華やかになります。


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樋口直哉(TravelingFoodLab.)
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!