焦がしバターと焦がしバターパウダー
料理において「乳化」というのはおいしさのベース。非常に重要なものですが、積極的に乳化を壊す料理法もあります。焦がしバターがその一つ。
バターを加熱していくと乳糖+タンパク質がメイラード反応を起こし、褐変色素と新たな香りがつきます。これが焦がしバターです。フランスでは中世から使われているソースで、マドレーヌみたいなお菓子にも風味付けに使われます。
ところで焦がしバターをつくると黒いつぶつぶが浮かびます。お菓子の職人は美的な見地からザルで濾してしまいますが、それを味見してみるとクッキーのようでおいしい。
Modernist cuisineにブールノワールというテクニックが掲載されています。これは焦がしバター(ブールノワゼット)よりもさらに焦がしたバターで(黒くなるようでは焦げ臭いので濃褐色が理想です)このテクニックを応用し、ブールノワールと焦がしバターパウダーをつくります。
まず用意するのは当然バターです。無塩バターであれば塩加減があとから調整が可能というメリットがありますが、有塩バターでもできます。
溶けてきました。100℃になると溶けはじめます。120℃前後で加熱を続けます。
ここでスキムミルクを30g投入。
泡立て器でかき混ぜながら加熱を続けます。最終的には水分が飛び、色づいてくる(150℃付近で乳固形分が色づきはじめます)のでザルで濾します。おそらくこの段階でバターの温度は160℃前後だと思います。
予熱でも加熱が続くので、このくらいで濾します。
濾したものが焦がしバターです。ブールノワールを名乗るのであればもうちょっと加熱したいところ。ま、今回はブールノワゼットなのでいいでしょう。スキムミルクを加えることで風味が強くなります。これはmoderist cuisineのテクニック。
濾したものはキッチンペーパーで油を抜きます。このパウダーは水分が少ないので冷蔵庫で保存が効きます。キッチンペーパーで挟んで、冷めるまで置いておきましょう。塩で味付けしましょう。有塩バターでも試作したのですが、ちょっとだけ塩気が強い感じになりました。でも、これは好みですね。
瓶に詰めて保存します。サラダの葉っぱとハーブ、それに温泉卵を添えられば立派な前菜になりますし、魚料理のアクセントにもなります。甘味のない香ばしいクッキーのような味。ナッツのような香ばしい匂いがします。こういうパウダー類は現代料理で重宝されるテクニックの一つですね。
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!