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レミーのおいしいラタトゥイユ

以前、本格的なラタトゥイユの作り方をご紹介しましたが、今回はピクサーの名作映画『レミーのおいしいレストラン』スタイルのラタトゥイユをご紹介します。

映画の説明は省略しますが、料理を監修したのはアメリカの三ツ星シェフ、トーマス・ケラー。映画をつくるためにプロデューサーは2日間彼の店、フレンチ・ランドリーに入って研修を経験したそうです。

余談ですが、トーマスケラー『フレンチ・ランドリークックブック』(『料理人誕生』などの著作で知られるマイケル・ルールマンの共著)はフランス料理を学ぶなら手元に置いておきたい一冊です。

さて、トーマス・ケラーのラタトゥイユはとびきりエレガント。元ネタは『バヤルディ風コンフィ Confit byaldi』というミッシェル・ゲラール(フランスの伝説的な三つ星シェフ)の料理です。

byaldiというのは茄子を使ったトルコ料理なのですが、ゲラールは縞剥きにしたズッキーニと茄子、シャンピニオンとトマトを薄切りにし、オーブン皿にきれいに並べ、オリーブオイルとタイム、にんにくのみじんぎりで風味をつけてオーブンで焼いています。トーマス・ケラーはそれをヒントにラタトゥイユをリファインした、というわけ。偉大なシェフの料理はこんな風に人から人に伝わり、進化していくんです。

フレンチ・ランドリー版 (写真)では下にピペラード(ピーマンとオニオンなどのコンフィ)を敷き、表面に野菜を並べています。 映画版ではさらにアレンジされ、ピペラードをベースにしたソースを注ぎ、焼き上げています。

今回のレシピはトーマス・ケラーのオリジナルを参考に映画に登場するラタトゥイユに近づけています。

レミーのおいしいラタトゥイユ(作りやすい分量) 
なす 2本(長いものなら1本)
ズッキーニ 黄ズッキーニ 各1本
加熱用イタリアトマト 4個
〈ソース〉
赤ピーマン 1個(150g相当)
新玉ねぎ 1個(普通の玉ねぎでも可 180~200g相当)
にんにく 3片(18g相当)
EVオリーブオイル 20cc(大さじ3くらい)
塩 2g
胡椒 適量
ローズマリー 少々(2枝)

まずは材料の準備から。

この分量だと少し多めにできます。すべて半量にすると4人前でちょうどいいくらいかもしれません。

まずは赤パプリカのカットから。

切った面を下にして、残りの面を切っていくとゴミが出ません。

こんな風に……

四面、カット。

最後に下を切り落とします。これが一番、簡単で早い切り方。赤ピーマンと玉ねぎは薄くスライスします。

にんにくもスライス。蓋ができる鍋に準備しておきます。鍋が薄い場合はくっつくの防ぐために油を敷きますが、後で多めに投入するので入れなくてもOK。

加熱用のトマトを湯剥きします。加熱用を使うのは大きさの都合ですが、水分が少ないのできれいに仕上がるというメリットもあります。もしも手に入らなければ大きめのミニトマトでも大丈夫です。

よく切れる包丁で薄くスライスしていきます。先端とお尻が余りますが、それはソ ースに使います。

緑ズッキーニ、黄ズッキーニ、茄子も1mmにスライスしていきます。こちらも先端部 分とお尻があまりますので、ソース用に回します。

野菜を全部スライスした後に残った形の悪い部分なども一緒にソースの鍋で煮込んでいきます。

蓋をして中火にかけます。ぱちぱちと音が出てきたら火を弱火に落とします。

時々、かき回しながら10分間~15分間、野菜の水分で蒸し煮にしていきます。

野菜がすっかりやわらかくなればOK。これがピペラードですね。

ミキサーに移して、塩を2gとローズマリーとEVオリーブオイルを加えます。オリジナルはタイムなどのハーブも入りますが、とりあえずローズマリーだけで大丈夫。オリーブオイルを最初ではなく、最後に入れることで香りを生かします。

ミキサーにかけてなめらかにしてから、胡椒を加えて味見。このソース、結構多めにできます。半量にしようかな、とも思ったのですが、野菜の水分量がかわり、焦げやすくなるので、多めのほうが作りやすいです。残ったソースはビネガーを少し加えると魚料理や肉料理など万能のソースになるので、活用してください。

オーブン皿にソースを敷きます。この量が多すぎると野菜が煮えてしまうので注意。写真の量が目安です。

さて、いよいよ野菜を並べていきます。ある程度の量を手で重ねてからお皿に移すようにすると作業が早いです。

こんな感じで並べていき、外側を一周したら、今度は逆周りになるように内側に。

並べ終わったら、ローズマリーを散らし、オリーブオイルをまんべんなくかけます。

焦げるのでオーブンペーパーをかぶせて、150度のオーブンで一時間焼きます。低温のオーブンで長時間焼くことで、野菜の味を引き出します。オーブンのなかでコンフィ(油煮)するような状態になるわけです。

焼き上がり。味が足りなければここでフルール・ド・セルをふりかけます。

セルクル型があれば映画に登場する仕上がりに近づけることができます。パレットナイフでごそっとすくいとり、セルクル型のなかに詰めます。

型から抜いて、ハーブを載せ、バルサミコ酢とオリーブオイルを1:1でまぜたものをふりかければ完成。ハーブは在庫にあったタイムを載せましたが、映画に近づけるならシブレットのほうが近いかもしれません。

オーブン皿はなんでもいいのですが、スキレットを使うと、野菜の色が映えます。

同じようにオーブンペーパーを被せて150度のオーブンで一時間。

焼き上がりがこちら。前回紹介したラタトゥイユとは違い、こちらは複数の野菜が渾然一体となった仕上がりです。パルメジャーノチーズをふりかけて焼くなどのアレンジも利きます。たまには映画に出てくる料理をつくる、というのも楽しいですね。

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樋口直哉(TravelingFoodLab.)
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!