いわしのマリネのレシピ
今年のいわしの価格の安さには驚きます。レジームシフト(海流の変化)という観点からはマイワシ→サンマ→マアジ→マサバ→マイワシという順番で採れる魚種が交代するそうなので、今年はいわしの周期ということでしょう。
今日はいわしをマリネにします。
いわしを買ってきました。いわしは魚編に弱いと書くくらい鮮度の落ちやすい魚でして、保存には注意が必要です。こんな風にバットに置くと、下側の身が魚自身の重みで潰れて鮮度が落ちます。ビニール袋に入れて、氷水に浸けておくのがベター。
いわしのマリネにするので頭をまず落とします。
次に肛門の部分を目印にして、お腹を落とします。
お腹のなかを洗います。いわしは7回洗うと鯛になる、という言葉がありますが、お腹の部分をよく洗うのが大事。しかし、水に浸けていると瞬く間に身がまずくなるので手早く処理しましょう。
すぐに水気を拭き取ります。
今日は大名おろしにします。いわしは骨が薄いので、大名おろしにしても無駄な部分があまり出ません。コツは包丁の身をいわしに対して斜めに入れること。
斜めに入れると骨がひっかかりません。
腹骨をすき取ったら準備完了。
今ではいわしをお刺身で食べることも珍しくなくなりましたが、昔は酢で締めてから食べるものでした。酸が細菌の増殖を抑え、特有の風味をつけてくれるからです。ヨーロッパ風のマリネは生の魚をマリネ液(例えば塩10%、酢酸6%の水溶液)に浸けこみますが、日本のしめ鯖はまず塩を振り、その後酢に比較的短時間漬け込みます。今日は後者の手法を応用します。
イワシのマリネ
イワシ 三尾
塩 5g
トレハロース 3g(もしくはグラニュー糖 3g)
酢 大さじ1
オリーブオイル 適量
まずつくるのは砂糖塩。
秘密兵器はトレハロース。(小分けなら富澤商店で購入するのが一番安いみたいです)糖分は分子が小さいため、塩よりも先に浸透します。そのため塩辛くなりすぎずに臭みを抜くことができるのです。原理的には砂糖もトレハロースも同じなので、砂糖でも同様につくれます。
バットに砂糖塩をまんべんなくふりかけます。
イワシの皮を剥きます。皮を剥くときは頭からお尻に向かって引っ張るようにします。指の先に塩をつけると滑り止めになります。
皮を剥いた端から並べていきましょう。
さらに上にも砂糖塩をまんべんなくふりかけます。ラップをして冷蔵庫で1時間。
こんな風に余分な水気が出てきます。
水で洗ってもいいのですが、この時の水に適量の酢(水100cc、酢100ccにしました)を入れておくと魚の身が水っぽくなりません。
水で洗ったら表面の水気をペーパーでとります。
ここで酢を表面にまんべんなく塗ります。大さじ1、使いました。
レモン汁やワインビネガーでもいいのですが、おすすめは旨味の強い米酢。富士酢は高品質な酢で、やや高価ですが価格分の価値はあります。
酢を塗ったらオリーブオイルに浸します。酸化を防ぐ効果を期待しています。このまま食べてもいいですし、冷蔵庫で1日か2日保存もできます。酢が徐々に浸透するのが味が変わっていくので、お好きな頃合いで食べましょう。
写真は1時間経った状態。保存性を高めるならもっと酢の量を増やします。
イタリアンパセリを振りかけて、バルサミコ酢を添えました。薬味には唐辛子もよくあいます。簡単な料理ですが、一つ一つの工程を手早く行い、魚になるべく手で触れずに温めないようにするなどするとワンランク上の味になります。何度かつくって慣れる必要がありますね。
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!