天気予報は思いの外不正確で、痒いところには決して手が届かない
今日も寝坊して、ネットカフェの延長料金を取られる。そこに思う不満も悔しさもいつの間にか感じなくなっていて、ただ今日の昼ごはんは安い食パンだけでいいかななどと思いながら、段々馴染んできた名古屋の街に繰り出す。少し彷徨いた後に、ふと大きな湯船に浸かりたいとそんな衝動に襲われ、数日前に行ったスーパー銭湯に向かうことにする。
まあ折角さっぱりするのだから、その前に溜まっている洗濯物も処理しようとコインランドリーに向かう。チャリのペダルを漕ぎ出した瞬間、頭に違和感。何かが足りない。風の生温さが妙に強い。そこでようやく、ヘルメットをなくしたことに気づいた。
記憶を遡って、立ち寄った場所全てに連絡してみたものの見つからず。ないものはない、仕方がない、見つかった時のために連絡先だけ残して、ひとまずコインランドリーに向かう。洗濯物と硬貨をぶち込むと、唸りを上げて洗濯槽が回り始める。それを確認してからスマホを弄り出す。
手持ち無沙汰ゆえの暇というのが意外と好きで、コインランドリーの待ち時間はその最たる物だった。気になっていた小説を読み進めつつ、時折残り時間を確認しながら過ごしていれば、残り20分というところで異音に気づく。
自動ドアの開閉と同時に叩きつけるような雨音が聞こえた。その勢いは強く、絶え間なく。
どうしよう、と立ち往生する羽目になった。流石に洗い立ての衣類を風雨に曝しながら動きたくはない。幸いこのレベルの雨だと、わざわざコインランドリーまでやってくる客もいないので、しばらくは雨宿りさせてもらう。
◇
雨上がりのひんやりとした空気の中、自転車を走らせる。道路の各所に残る大きな水溜りが先程までの暴雨の残滓を感じさせるし、通り過ぎる際の水はねが最悪だ。だがその分、温泉でゆったりさっぱりする気持ちよさが爆増する。サウナと湯船でリフレッシュ。休憩室で、のんびり。
夜ご飯のサーモン丼。うまい。
食後にもう一度お風呂を楽しみ、火照った身体で休憩室の畳にダイブ。そのまま仮眠を取る。何故なら今日は、夜を明かす予定なので。ここ数日ネカフェで寝泊まりしたせいで財布へのスリップダメージが半端ないのだ。散々雨を予報していた割に降らずじまいだったし、今日は昼間降ってたから大丈夫だろう──
──そんな慢心は、施設を出た途端に降り出した雨によって洗い流された。
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