札幌遠征(2022年3月15日~26日)の記録①
2年前、ちょうど大学を卒業した頃、休みを利用して札幌遠征をおこなっていたので、その時の記録をしておきたいと思う。
春から無職が確定した大学4年の冬
2022年の3月、私は首都圏の大学を卒業した。
大学を卒業した人の多くは、大学院に進学するか、もしくは就職をする。
私も2022年4月からは社会人になる予定であったのだが、なんと内定を1つも貰うことができず、卒業と同時に無職になることが確定してしまった。
数百万円の奨学金を抱え、春から無職になってしまうという現実。
社会性も協調性もコミュニケーション能力もないから、アルバイトをしながら食つなぐこともできない。
したがって、春からは地元の田舎に帰り、そこで就職活動をすることになっていた。
だが、私は田舎に帰りたくなかった。
何故か?その理由は単純明快、田舎だからである。
車がなければまともに移動することもできない、娯楽もない、若者はいない、おまけに冬季は大雪が降るという過酷な気候も併せ持つ。
それに加えて、私にはASD(自閉スペクトラム症)という障害があり、そのため障害者雇用を中心に就活をしていたのだが、私の田舎には「就労移行支援」施設が1つもなかった。
就労移行支援というのは、主に障害のある人が、障害者雇用での就職を目的に、仕事の練習をしたりスキルを得たりすることができる場所なのだが、こういった施設は往々にして大都会の方が充実している。
私はこの時ほど、首都圏に実家がある人たちが羨ましいと思ったことはなかった。
田舎に生まれただけで、(正確には私の生まれは首都圏で、物心つかない頃に田舎に引っ越した)私はここまで苦労させられるのか。
発達障害(ASD)があって、友達はできない。恋人もできない。
まともにコミュニケーションも取れなくて、内定も貰えない。
だから就活をしたいのに、田舎じゃ就活すらできない。
私は絶望した。毎日希死念慮に襲われた。
もう人生なんてどうでもいいやと思い、私は今までとは少し違うことをやってみることにした。
「地方都市最強説」を実践するために
私は学生時代から、住むなら「地方都市」が一番良いのではないか?と思うようになっていた。
ここで言う「地方都市」とは、札幌や仙台、広島、福岡などの政令市を指している。
首都圏に約5年間住んでいた私は、東京は人が多すぎるし、街中はガヤガヤしていて煩く、その雰囲気があまり好きではなかった。
かといって、私の地元のような田舎では、車がなければ生活できないし、仕事や娯楽は少ないから、こちらも住みたくはない。
では間を取って、政令市クラスの地方都市なら丁度良いんじゃないかという結論に達した。
それでは、どの地方都市に住むべきだろうか。
候補に挙がったのは、札幌・仙台・福岡の3都市。
名古屋、大阪については、(地元の人には申し訳ないが)あまり治安が良いイメージがなかったため、最初から除外した。
広島に関しては、治安はそれほど悪くはないと思われるものの、東日本出身の自分がいきなり行くには少しハードルが高いかなと思い除外。
残った3都市を吟味していく。
まずは、札幌と仙台を比べてみる。
両都市とも縁がなく、行ったことは1,2度程度しかないので、知識はほとんど持ち合わせていなかった。
単純にこの両都市を比較すると、札幌が仙台の上位互換のような気がしたので、ここで仙台を除外した。
最終戦は、札幌VS福岡の対決。
都市規模で比較すれば、福岡の方に軍配が上がると思うが、私が東日本出身であるのと、受験生の頃北大を受けたことがあったので、札幌を選ぶことにした。
札幌遠征をするきっかけは「東横イン」
こうして、地方都市に移住するなら札幌が一番良いという結論が出た。
大学を卒業する半年くらい前から、私は盛んに「地方都市最強説」を吹聴し始めた。
当時通っていた「サポートステーション」やハローワークでも、支援員の方に「卒業後は札幌に行きたいんですよ」と言うようになった。
サポートステーションの方はそれに賛同してくれたが、ハローワークで私を担当されていた方は、「就活するなら東京の方が良い」と言っていた。
時間が過ぎ去り、卒業が間近に近づく中、私はある決断をすることを迫られた。
卒業後は地元の田舎に帰る、首都圏に残る、札幌に移住するという3つの選択肢から1つを選ぶ必要があった。
前述の理由で、田舎に帰るのは避けたい。
首都圏に残るのが最も合理的のように思われるが、家賃が高いし、当時住んでいた物件は学生マンションだったので、卒業と同時に部屋を引き払わなければならないという問題もあった。
ならば、選択肢は事実上1つしかない。私は札幌に行くことにした。
さっそく、札幌移住のための準備を始めることにした。
私が立てた計画は以下の通り。
3月に学生マンションを引き払う
引き払ったと同時に札幌に飛び、現地で情報収集をする
情報収集の結果、移住をする決断ができたら、物件を探す
移住をやめる場合は、またその時に考える
移住を成功させるためには、現地の情報をたくさん集めなければならない。
そのためには、現地でしばらく生活をし、どんな雰囲気かを体感する必要がある。
そう考えた私は、学生マンション引き払いと同時に札幌に行って、しばらく市内のホテルに滞在してみることにした。
ちょうど、私がよく使っているビジネスホテルチェーンの「東横イン」で素晴らしいキャンペーンが行われていた。
「U35割」というキャンペーンで、35歳以下なら35%オフの料金で泊まることができた。
当時は今(2024年)と比べるとまだコロナ禍の真っ最中で、宿泊料金が安かったから、割引を適用すれば1泊3000円程度で泊まれた。
つまり、10泊しても3万円くらいしかかからない。
「これだ!」と思った私はすぐさま札幌市内の東横インを予約。
市内にある東横イン「札幌駅西口北大前」「札幌駅南口」の2つのホテルに、合計10泊11日滞在することになった。
神奈川から札幌まで
私にとっての運命の日、2022年3月15日。
これまで5年間住んでいた学生マンションを引き払った。
立ち会った業者の男性に、「春から就職ですか?」とか訊かれて、「…はい」と答えた。(実際は春から無職)
これまで親しんできたマンション、そして川崎市、神奈川県に別れを告げ、私は東急線に乗車してJR武蔵小杉駅に向かった。
駅の中にある店で天丼か何かを食べ、そこからまた電車で京急線との乗換駅へ。(京急川崎か京急蒲田に行ったが、どっちだったかは忘れた)
京急に乗り換え、羽田空港へ。
羽田からは全日空で新千歳空港へと旅立った。
ちょうどこの日は千歳周辺の天気が悪く、「条件付き運航」となっていたが、問題なく千歳へ到着できた。
ちなみに、この時利用したANAの運賃は25歳以下の特権「スマートU25」。
搭乗当日に予約するタイプで、羽田⇒千歳を片道約16000円で移動できる。
LCCよりは高いが、予定を柔軟に組めるこっちの方が良かった。
千歳からは、快速エアポートで札幌駅へ。
札幌駅は帰宅ラッシュの時間帯で、改札周辺は酷く混雑していた。
札幌遠征で印象に残った事
文字数が滅茶苦茶長くなってしまったので、今回は札幌遠征でやったことは省き、印象に残ったことだけを書いておく。
狸小路のお店にいた可愛い女性の店員
札幌の大通と「すすきの」の間に、「狸小路」(たぬきこうじ)というアーケード商店街がある。
そこには色々な飲食店が軒を連ねていて、昼夜ともにたくさんの人で賑わっている。
札幌遠征の間、私は狸小路のとあるお店で2,3回ランチを食べた。
そのお店は昼はランチ営業、夜は居酒屋として営業しているところで、ランチは丼ものを中心に提供していた。
その丼ものが安くて美味くて、私は何回も通っていた。
しかも、注文を訊きに来る店員の女性が可愛い方で、毎回癒されていた。
おそらく今も営業していると思うので、機会があったらまた行きたいと思うけど、札幌に住んでから狸小路に行くことはほぼなくなってしまった。
大通公園で路上喫煙をするサラリーマン
大通公園という場所は、街中に在りながら自然豊か、「さっぽろ雪まつり」を始めとするイベントも行われる楽しい公園だが、路上喫煙のメッカでもある。
札幌遠征の際も、公園の隅っこでスパスパと煙草を吹かしているスーツ姿の男が何人もいた。
おそらく会社のオフィスには喫煙室がないのか、あってもキャパシティをオーバーしていて入れないのか分からないが、吸える場所がないのだろう。
とはいえ、公園で煙草を吸って良い理由には到底ならない。
札幌の喫煙マナーはかなり遅れていて、大通公園の光景は氷山の一角と見るべきだろう。
北海道は喫煙率が全国で一番高いところだから、煙草に対する規制が緩いのは仕方がないのかもしれないが、もう少ししっかりしてほしいと思う。
札幌ドームで、お婆さんに席を取られそうになる
札幌遠征では、札幌ドームでプロ野球の試合を観戦した。
せっかく札幌に来たし、ちょうどドームでプロ野球のオープン戦がやってるらしいから、ちょっと見てみようということになった。
「北海道日本ハムファイターズ」VS「横浜DeNAベイスターズ」の試合だった。奇しくも、私がつい最近まで住んでいた神奈川のチームとの試合。
これが私にとって人生最初のプロ野球観戦体験であった。
オープン戦なのでそれほど混んでおらず、快適に観戦できた。
しかし、ドームではハプニングにも遭遇した。
試合開始まで少し時間があったから、弁当を買いに行くために席を立った。
弁当を持って戻ってくると、何と自分の席に見知らぬお婆さんが座っている。
一瞬頭が真っ白になった。
席を間違えたかなと思ったが、ここは間違いなく私の席だ。
業を煮やした私は、近くを歩いていたスタッフに声をかけ、対処してもらうことにした。
スタッフがお婆さんに声をかけると、席が違うことに気づいたらしく、すぐに退いてもらった。
そのお婆さんは娘?と思われる30~40代くらいの女性と一緒に観戦に来ていて、私はその女性に「ごめん、ごめん~」という軽いノリで謝られた。
彼らとしては、まさか最後列のこの席に他の客が座っているとは毛頭思っていなかったのか、悪気なく他人の席を奪ってしまっていたようであった。
今から思えば、彼らのようなタイプはある意味で北海道民の標準のような気がしてくる。
北海道民というのは、細かい事を気にせず行動してしまうところがあるからだ。
突然お婆さんに席を奪われ一瞬だけパニックになったが、その後は楽しく観戦ができた。
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