海外で活躍する日本人ダンサーへのインタビュー「DATS海外ダンス事情特集」1回目はマルセイユバレエ団の佐藤亜耶さん
突然ですけれども。
日本の舞台芸術を取り巻く環境はなかなか厳しいと思うのです。
何が厳しいって・・・
語りだしたらキリがないのですが、キリがないからこそ海外から学ばねばと思い立ち、海外で活躍する日本人アーティストにインタビューを始めました。
きっかけの一つにマルセイユとの国際交流事業があるのですが、そのことはまたいずれ書きます。
佐藤亜耶 / SATO Ayaさんのプロフィール
3歳から北海道釧路市にてバレエをはじめる。
2011年9月よりドイツに留学、2015年フランス国立マルセイユバレエ団に入団。
2017年同バレエ団の永久契約ダンサーとなる。
現在も同カンパニーに所属、ディレクター(LA)HORDEの作品を中心に世界各国から招待される振付家の作品に出演。
フランス国立マルセイユバレエ団 / Ballet National de Marseilleとは
1972年にフランスを代表する世界的なダンサー/振付家のローラン・プティ(Roland Petit)によって創立される。
バレエ団という名称を用いてはいるが、古典作品を上演することはほぼ無く、コンテンポラリーダンス作品が中心となる。
バレエ団の他にマルセイユ国立高等舞踊学校を擁しており、300席の小劇場と9つのリハーサル・スタジオ(そのうち2つはマルセイユバレエ団専用)を備えている。
ただ、こちらの劇場でマルセイユバレエ団が作品を上演することはほぼなく、基本的にはヨーロッパを中心に世界中の劇場で作品を上演している。
Ballet National de Marseille (ballet-de-marseille.com)
マルセイユバレエ団は様々なアーティストとコラボレーションしています。
上はMusic Videoで、下はマルセイユバレエ団の舞台作品になるかと思います。
どちらの映像もパワーが凄いです・・・!
あと、今回はミュージシャンとのコラボになるかと思うのですが、音楽もよいですね。
Dance and Arts Talk Session-DATS-について
海外のダンス事情について、海外で活動するダンサー/以前に海外で活動していたダンサー/日本在住だけど海外で活動してきたダンサーにインタビューをする企画です。
個人の視点で語っていただくことを重視しています。
ジャンルは主にコンテンポラリーダンス、舞踏、バレエなどの舞台芸術が中心になりますが、あまりこだわらず少しずつ広げていければとも思っております。
インタビュー前半は無料公開しています
【無料部分】
00:49 イントロ
01:57 01「もともと海外志向は強かった? 日本から海外に行くまで」
05:07 02「ドイツのバレエ学校在籍から就職が決まるまで」
10:23 03「マルセイユバレエ団に入団してみてどうだったか」
12:48 04「マルセイユという街について」
14:14 05「カンパニーの多様性、カンパニー内で求められるもの」
17:19 06「どのように環境に適応していったのか」
19:24 07「組織内で自分が意識をしているところ」
20:52 08「バレエの指導法について、日本と欧州の違い」
23:07 09「現在のバレエとの向き合い方」
24:39 10「マルセイユバレエ団の施設や組織について」
動画の前半を振り返ると
佐藤亜耶さんは北海道でバレエを始め、バレエダンサーになることを夢見て中学卒業時に海外挑戦を希望しますが、一時は断念します。
ドイツのバレエ学校では、あらためて基礎中の基礎から叩き直されたとのこと。
日本で培ってきたものはあったが、一方でごまかしてきた部分を見抜かれて、それじゃ足りないと徹底的に直されたそうです。
就職でドイツからフランスに行くことになりましたが、言葉の壁もあって最初はしんどかった、と。
時間をかけて街や環境に適応していきました。
カンパニーのダンサーは国籍や人種が多様で、その中で何を求められるのか。
ダンスはみんな上手、それ以外にチームに入ったときに何を提供できるか、個性、強み・・・
「真面目になりすぎないで・・・」と言われ続けてきたが、それこそが自分の強みなのではないかと考えるようになった、と。
【有料部分】
38:16 11「サラリーについて、CDI(セーデーイー)という契約」
42:06 12「地域活動やダンスクラス、バレエ学校について」
46:49 13「コンテンポラリーダンスについて」
53:53 14「注目しているダンスカンパニーは?」
56:24 15「フリーランスで活動しているアーティストについて」
59:23 16「国や地域による違い、フランスのこと」
01:02:16 17「昔の自分にアドバイスを送るならどんなことを?」
01:05:55 アウトロ
動画の後半の振り返り
後半はマルセイユバレエ団の施設や組織について。
カンパニーにゲスト振付家が派遣されてくる制度について、サラリーや契約についてなどダンサーの保障や社会的立ち位置についてなどをお話しいただきました。
フランスの雇用契約は「CDDとCDI」というふたつの契約があり、前者は期限付き契約で、後者は無期限契約とのことです。
佐藤さんはCDIを契約したことで、労働環境の安定感が変わったとのこと。
日本ではダンサーは職業として成立しているかといわれると、なかなか難しいものがあります。
その為、ほとんどの方がダンス教師として生計を立てているのではないかと思います(もちろん成立している方もいますが)
日本でも最近では芸能従事者向けの労災保険ができるなど、少しずつ状況は変わってきているとはいえ、やはり西欧の方が充実しているという印象をもちました。
なぜ後半は有料にしたのか
この企画は大変薄謝で恐縮なのですが、出演者の方に謝礼をお支払いしています。
私自身のポリシーとして、基本的にはどんな企画であっても、例えそれが100円200円であったとしても謝礼はお支払いしたいという気持ちがあります。
大手メディアとかは普通に無料での出演を求めてくることがありますが・・・僕自身も何度かそれで出たことがあるのですが、あまりに敬意を欠く出来事もあったりして、そういう経験から自分ではそうしないようにしようと思いました。
あとは、この企画を拡大していきたいと思っていること。
今すぐの話ではないですが、通訳の方にお願いして海外の重鎮に話を聞いたりしていきたいと思っています。
そんなにたくさんのお金は必要ないのですが、それでもお金がないと継続はできないと思います。
最後に、ひとりでものごとを続けることってなかなか孤独で(笑)
こういうデジタルコンテンツを始めてはすぐ辞めてしまう、みたいな人も多いと思うのですが、その理由に誰にも評価されない孤独感みたいなことがあるのではと思うのですね。
ところが、何かしらの形で応援していただけると、これは本当に驚くくらい支えになるのであります。
なので、ご支援をお願いしてみることにいたしました。
【有料部分の購入方法】
このオンラインプログラムは短期間限定の公開という形ではなく、2035年くらいまで視聴できるように設定しました。
視聴方法は2通りございます。
1、単体購入
映像を単体で観たい方に向けたもの。視聴期間は2035年くらいまでです。
一般 1,000円
学生 500円
と、設定しようと思ったのですが・・・
思い直して、最初は一律500円から始めます!
●佐藤亜耶さんのインタビューの有料部分購入はこちらから↓
2、CONTE Support Membershipに加入して全ての映像コンテンツを見る
活動を応援していただけるメンバーシップです。
メンバーの皆さんにはサブスクのような形で、全てのコンテンツを見ていただけるようにしました。
一般 月額 880円
学生/未成年 月額 480円
今はまだ動画が少ないですが、これから増えてくると少しは還元できるのでは・・・と考えております。
皆様のサポートを心よりお待ちしております。
●メンバーシップの申し込みはこちら↓
最後にまとめ
全体的に伝わってきたのは、現在の佐藤さんの充実感です。
幼少期に思い描いていたような「バレリーナ」にはなれなかったかもしれませんが、世界的なダンスカンパニーの一員として忙しくワールドツアーをするなど充実した日々を過ごせているようにみえます。
マルセイユバレエ団はとても個性的で、多様なゲスト振付家やアーティストが派遣されてくるし、映像作品なども多いし、いろいろなことにチャレンジしているカンパニーのように思います。
ちなみにバレエ団のオフィサーの数も何十人といるらしく(動画でも語られていますが、詳しい人数は忘れてしまいました・・・)
規模感とか、カンパニーとしての安定感がありますよね。
日本だとダンスカンパニーとしては難しくて、大手の芸能事務所とかじゃないとその規模感は出せない気がします。
「いろいろあったけど、これでよかったな」
という佐藤亜耶さんの言葉が胸に心地よく刺さりました。