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星の明るさ
夜空で輝く一番明るい星を一般的に『1等星』と呼びます。
では、その『1等星』の基準はなんなのでしょうか?
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『1等星は21個』の note でも説明しましたが、恒星の明るさは【等級】という尺度で表します。
古代ギリシャの天文学者ヒッパルコスが、目安として最も明るい恒星を1等星とし、かろうじて肉眼で見える暗い星を6等星として、間を分ける形で6段階に分けたのが始まりとされています。
その後、イギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルが、等級が大きくなるとその明るさが二乗に反比例していることを。
その息子のジョン・ハーシェルが1等星は6等星の100倍の明るさがあることを発見しました。
1856年にイギリスの天文学者ノーマン・ポグソンはこれらの結果を発展させ、5等級差が100倍に相当し、1等級の差が100の1/5乗 ≒ 2.512倍に相当すると定義しました。
ポグソンの方程式
恒星の光度を表す方程式。$${m}$$,$${n}$$等星の光度をそれぞれ$${{}l_m}$$,$${{}l_n}$$としたとき、
$${m - m = -2.5log( {}l_m / {}l_n )}$$
が成り立つ。
これにより、それまで整数で表していた等級が、『1.2等級』などと少数を使って表せるようになりました。
ここまでくると明確な基準が必要になり、「ベガは0等級」では済まなくなってきます。
1884年にアメリカの天文学者エドワード・ピッカリングが、北極星を『2.0等級』と定義しました。
その後、北極星近くの暗い星の観測が行われ、1922年のIAU総会で96個の星が国際式等級の原点が定められました。
しかし、星は『見た目の明るさ=実視等級』と『写真で撮った明るさ=写真等級』があり、星の色(波長)と写真乾板の感度の問題から、等級に違いがあることが分かってきました。
実視等級と写真等級の差を埋めるため、現在は決められた色フィルターで複数の基準星を撮影して得られた光度を基準にして等級で決められています。
具体的には、青い光を通すBバンド、紫外光を通すUバンド、緑の光を通すVバンドがあり、北極系列と呼ばれる6つの星からVバンドの等級原点を決め、別の6つの星の平均光度から、U=B=V=0となるゼロ等級原点を決めました。
「ベガは0等級」の『ベガ』を例に取ると、3つのバンドそれぞれで
U=0.02等級
B=0.03等級
V=0.03等級
となり、『0.03等級』となるのです。
では、明るく見える星は、そのまま大きい星(=明るい星)と言えるのでしょうか?
(明るさと大きさの関係は、別の機会にいたしましょう。)
答えはNoです。
分かりやすく太陽を例に取りますが、太陽の光度は【-26.7等級】ですが、宇宙で最も大きい星ではありません。
太陽が明るいのは、『ものすごく近いから』です。
(小さな豆電球も、文字通り目の前に置くと目もくらむ明るさになるのと同じですね。)
明るい星でも遠ければ暗く、暗い星でも近ければ明るく見えます。
これを『見かけの等級』といい、星空の星はこの等級で明るさを表します。
明るさは距離の二乗に反比例します(2倍遠くなると、明るさは4分の1になる)
そこで、距離を同じ(10パーセク=32.6光年)と仮定したときに明るさを『絶対等級』と呼び、絶対的な明るさの指標としています。
太陽の場合、絶対等級にすると【4.82等級】ですから、いたって普通、ありふれた星であることが分かります。
主だった星ですと、
シリウス :-1.46等級 ⇒ 1.4等級
カノープス:-0.74等級 ⇒ -5.6等級
北極星 : 2.02等級 ⇒ -3.6等級
デネブ : 1.25等級 ⇒ -6.9等級
となります。
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