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ポストコロナ社会:しばしの沈黙のあとに見出すもの

前回のnoteにて、ポストコロナ社会で拡大される社会の歪みについて「あなたにも責任がある」という主張に対して、しばしのあいだ沈黙しても全然いいということを書きました。#blacklivesmatterや#blackout(真っ黒の写真を投稿するハッシュタグ)を使って今アメリカで起きている社会運動への支持を示す人たちが日本でも増えはじめているのを片方に見ながら、「今の段階では同調も賛同もしない」と書くのは躊躇するところがありましたが、それでも結果としてこれまでのnote記事のなかで一番多くの”スキ”をつけて頂きました。読んで頂いた皆さん、有難うございます。

短文簡易で刺激性の強い文章が超高速で世の中を創り出している今の時代に、長文難解で良薬口に苦し的文章を残せるnoteという媒体は、世界が多様性を持ち続けるために大事な存在だなと思っています。

今日のnoteでは、前回書いたしばしの沈黙のあとに、ポストコロナ社会をどう捉えるのかという総論みたいなものを書いてみたいと思います。

「ポストコロナ社会」をどう捉えるのか

ポストコロナ社会をどう捉えるのかについて、先に私なりの結論を書いておきます。私は今世界中で起きていることの主たるところは、以下のように捉えられるのではないかと思っています。

ポストコロナ社会は、これまで非可視化されてきた社会のなかの歪みが、それがつくり出され、固定化される構造も含めて明らかになっている時代であり、今そこに生きる私たちは、その歪みを自分事として経験している。

ここでの「歪み」は今の社会がその構造ゆえに抱えている問題や矛盾を指します。ここで言うところの構造を成り立たせているものとして、民主主義、資本主義、自由主義という現代社会の3つの基本ルールと、これらのルールを用いる際の「私(個人)」という単位があると考えています。

例えば選挙は、有権者としての「私」がある地域の代表を選ぶという形態ですし、経済は、労働者や消費者である「私」が、労働や消費を介して市場と関係を持つという形になっています。そして、これらの活動の主体である「私」は、自由と平等な権利を持つ存在であり、個人(私)として独立した存在として扱われます。

それぞれには美しく効率的に見えるこれらのルールですが、しかしこれらに基づいてつくられた社会はけっして完璧なものではありません。現実には、経済や教育の格差、環境と開発の不調和、社会への無関心化、などの課題があります。これらをまとめて「歪み」と表現したいと思います。

この歪みは社会が構造的に作り出しているものであり、3つの基本ルールが描いている理想像とのギャップや矛盾として認識されています。これらの歪みによって社会的に弱い立場に置かれてしまっている人たちへのケアは、心ある人々の福祉や市民団体によるアドボカシーによって、十分な状況とは言えないくても、少なからず行われてきました。それは、現代社会が抱える内包している課題を補正する仕組みでしたが、新型コロナウィルス感染症の拡大によって、世界的にこれらが機能停止となり、不安定な社会が立ち現れました。

結果として、これまでもずっとあった社会の歪みについて、それがつくり出される仕組みと固定化する構造まで含めて見えるようになり、多くの人々がその歪みを自分事として経験している状況になってきています。

このことに私たちはどう対応していけるのでしょうか。これまで基本単位としてきた「私」をそのまま維持できるのでしょうか。

「私」と伴に「私たち」という第三軸を立てる

コロナの影響でこれまで不可視化されてきた社会の歪みが顕在化しているなかで、個々の状況に対してAなのかBなのかというように、ある立場を取ることを、私たちは急かされていないでしょうか。繰り返しになりますが、この状況に対してしばし沈黙することも全然いいし、更に言えば、そのあとにAかB以外の捉え方をしてもよいと思うのです。私はここにひとつの答えのようなものがあるように思っています。

私がしばしの沈黙のあとに見出したものは、AかBというような二項対立的な世界観を超えるために、対峙している状況に対して第三軸を立てることができるかが、今とても大事なのではないか、ということです。

ポストコロナ社会の経験も、今アメリカで起きているBlack Lives Matterにどう向き合うかも、「私」がどの立場にあるかを意識し、現行社会の構造のなかで行動することを強いてきます。考えているのが私個人である以上、この「私」に突きつけられる選択の存在は変えられないのでしょうが、これと伴に「私たち」という第三軸を立てることができないでしょうか。

まだはじめたばかりですが、「私」と伴に「私たち」という軸を置いてものごとを捉えていったときに何が見えてくるのか、これから模索していきたいと思います。

見えてきたものについてはまた次のnoteにて。


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