【否定について考える 3】 ルサルカ
魂が分離する大元の原因は「否定」だ。
オペラ『ルサルカ』を見に行ってきました。ディズニーの『リトル・マーメイド』のもとになった物語ですがハッピーエンドではなく、人間の王子に恋した水の妖精の悲しい物語です。
パシフィック・オペラ・プロジェクト(POP)というオペラカンパニーの公演で、場所はデスカンソガーデンという大きな公園の屋外ステージでした。開演は夜7時半。大きな木々に囲まれるステージが日没とともにだんだん暗くなり、湖の妖精ルサルカの世界にぴったりの雰囲気を醸し出します。
POPはオペラを身近なものにしたいという情熱のもと「見やすいオペラ」を提供してくれます。まずチケット代が安い! それに衣装や内容もPOP独特のアレンジがされています。
例えば『蝶々夫人』。オペラでスクリーンに字幕を映し出すのはどのカンパニーもやっていることですが、POPの『蝶々夫人』は英語と日本語のバイリンガル公演。字幕も日英両方で提供し、公演場所もリトル東京という、すごい工夫をしています。
ルサルカ
開演前の挨拶で座長が「どんどん写真撮って宣伝してね!」と言っていたので、いっぱい写真撮りました。
始まってすぐ、森の妖精たちがキャッキャとはしゃぎながら出てきた時、パンゲアってこんな感じだったのかもな~と思いました。それ以降、最後までパンゲアについて考えながらオペラを観ました。
人間の王子にはルサルカの姿が見えません。ルサルカは人間になりたくて、イェジババという魔女の助けを求めます。魔女と聞いて、ここでもまたパンゲアに闇の魔術師が入ってきた話を思い出しました。
闇の魔術師の目的は否定を拡大すること。イェジババも同じはず。「王子に愛されなかったら呪いであんたは魔物になるけど、いいんだね?」と念を押します。うまいな~「王子に愛されないかもしれない」っていうアイデアを、さり気なく植え付けてる。
そもそもルサルカが「今のままの私では王子に愛してもらえない」と思った時点で、自分を否定してるよね。人間になる交換条件として声を奪われたあとも「言葉で愛を伝えられないから愛してもらえない」「私は水の属性だから熱い情熱を王子に与えられない。だから愛してもらえない」って、ずっと自分を否定してる。
最終的には浮気した王子も呪われてボロボロになります。ルサルカは王子に死を与えることで呪いから解放してあげるけど、ルサルカ自身は死ぬこともできず、永遠に呪われたまま、湖に近づく男たちを水底に沈める魔物となりました。おしまい。
悲しすぎる…😭
続く✨