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【ドイツあれこれ】洗濯のできる使い捨て品
[初出:2006年12月]
ちょっとティッシュを貸してと頼むと、ドイツ人の相棒はポケットからくしゃくしゃと丸まったのを差し出すことがある。よれよれとした使用感の漂うティッシュに、不快感を覚える。でも、相手はブランド品だよと少しも悪びれるようすはない。
ティッシュの代名詞ともなっているテンポは、1929年以来のベストセラーである。厚手のしっかりした紙でできており、ポケットに入れたまま洗濯しても再利用できるくらいだ。端にミシン目が入っているのが純正品の印。これはハンカチのデザインを模倣したものだ。つまり、ハンカチと同じように何度も使用することを前提とした製品なのだ。昔ドイツに住んでいた友人からも、お土産に頼まれる。花粉症の彼女には必需品だという。
チリ紙一つとっても、よいものを長くというドイツの製品哲学が活きている。