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【ドイツあれこれ】民営化の遺産がストに与える影響

[初出:2007年11月]

久しぶりに見本市で仕事。そんな時に限って、朝から鉄道が史上最長ストに突入した。会場のある隣町まで近郊列車に乗ればすぐなのだが、その日は大事を取って車で出かけた。普段から混む高速道路は大渋滞で、出口で立ち往生した。

メッセ会場までの道路も数珠つなぎで、タクシーの運転手が驚いていた。ストによる経済への影響を垣間見る思いがした。

ドイツ鉄道によれば、当日のローカル線運行状況は西部で50%、東部で15%だったという。その東西格差は、旧国鉄時代からの公務員の存在に由来している。西独国鉄の職員は公務員資格のまま引き継がれた。それに対し、東独国鉄の職員はサラリーマンとして新会社に移った。西部ではスト権のない公務員で半分の電車を走らせたわけである。西部の通勤者は、真の民営化までの時差に助けられた形だ。

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