【ドイツあれこれ】どんぐりの葉っぱでお節句を祝う
[初出:2008年5月]
こちらに長くいると、身近に手に入る食材で和食を作る技も発達してくる。正月には黒豆の代わりにレッドキドニービーンズを煮付け、お彼岸にはミルクライス米でおはぎを作る。
リフォームハウスと呼ばれる自然食品ショップも、けっこう役に立つ。豆腐、米の粉、ソバ粉、胡麻などが手に入る。節分の時には、炒った大豆をそこで見つけた。
この季節自慢の考案は、アイヒェルというドイツオークの葉を使った柏餅である。ぎざきざ加減が柏にそっくりで、完璧なカモフラージュである。5月も下旬になれば、初鰹ならぬ初ニシン(マティエス)で、しめ鯖寿司もどきができる。もっとも、今年は寒い冬が長引いたから、まだアイヒェルの葉は萌えだしたばかりで、お節句には間に合わなかった。日本の温暖な気候ばかりは、代用しようがない。