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【ドイツあれこれ】名前だけそれらしいのが「味噌」

[初出:2007年12月]

悪い予感はしたのだ。でも、雪の降りそうな寒い日だったから、逃げるようにして入ったカフェで、つい「東京風味噌汁」なるものを注文してしまった。ドイツ人の作る日本食なんて期待していなかったが、これはひどかった。味噌ではなくて、コンソメの醤油味で、おまけに揚げたビーフンが入っている。どこかマギーブイヨンの味もする。油の浮いた汁に箸をつけられなかった。

エキゾチックな創作料理のつもりだろうけど、味噌は看板偽りだと文句も言いたくなる。その点、日本料理店にいけば安心かといえば、一概にそうとも言えない。ドイツ人と連れだっていくと、味噌汁も時に現地化する。前菜のスープ扱いになるから、主食が出てくる前に、ぽつんと味噌汁だけ出てくる。お椀はソーサーに載っていて、スプーンが添えられている。これもいささか興ざめである。

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