【ドイツ、ときどき隣国】ドイツの高齢化社会を支える出稼ぎ
[初出:2007年3月]
中央駅の近くにある長距離バスの停留所。東ヨーロッパ方面のバスが発着する時は、大きなスーツケースや段ボール箱を抱えた人々でごった返す。近所のおばあさんに頼まれて、あるポーランド人の女性をそのバス停まで送った。
彼女も例にもれず、引っ越しかと思うほどの大荷物である。蚤の市で家族へのお土産をたんまり仕入れたのだと、得意そうに教えてくれた。家には、まだ小学生の子供が首を長くして待っているという。
彼女は寝たきりの近所の人を住み込みで世話している。3ヶ月ぶりの里帰りである。非公式の仲介業者によって、交替でドイツに送り込まれる介護要員の一人だ。闇労働なのは言うまでもない。
ドイツの高齢化社会は、彼女のような外国人出稼ぎ労働者が支えているのだ。帰りの車のなかで、何だかやり切れない思いになった。
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