【ドイツあれこれ】漢字で書いてくれたら分かるのに
[初出:2006年5月]
ボンの国立絵画展示館で中国の西安(Xi'an)に関する展覧会をやっている。欧文で中国の人名や地名を読むのは、もどかしい。しかし、連れのドイツ人にはもどかしいどころか、全くピンと来ないらしい。一般教養のある友人なのに、近代史に出てくる清以外は中国の王朝名に疎い。
初めは何と無知なのかと驚いたが、裏を返せば、これは中国の歴史が日本人にとっていかに重要かを物語るように思う。歴史はアイデンティティーに関わる。例えば、ドイツ人子供の歴史の宿題を手伝おうとした時のこと。ピラミッドに関する実に細かい質問をされて困った。自己に通じる文明の暁をそこに見るからこそ、古代エジプト史をそれ程詳しく教えるのではないか。
考えてみれば、「日本史」と「世界史」という区別も不思議である。ドイツの高校の教科は「歴史」のみである。