【ドイツあれこれ】肝試しには物足りない墓場
[初出:2006年9月]
ベンチでお弁当を広げる人、犬を連れて散歩する人。墓場の昼下がりは長閑だ。日本人にとって墓場は気味の悪いものだが、ドイツではれっきとした保養の場だ。確かに緑は多いし、老人にも歩きやすいように遊歩道も整備されている。
また、墓石も素材や装飾に様々な趣向が凝らされている。大抵は、生年月日と没年が記されている。だから、それぞれの故人の生きた時代が想像できる。
核家族化のせいか、一族の墓というのは余り見かけない。そもそも、ご先祖様をまつるという概念が薄い。たかが20年や30年の墓地使用契約が切れてしまい、更新しなければ、その区画は新しいテナントに解放される。そして、他人の骨が同じ場所に埋められる。まあ、キリスト教徒にすれば、一度神の国に召された魂はお盆で里帰りすることもないから、それでもいいのか。