【ドイツあれこれ】地元っ子が支える映画文化
[初出:2008年9月]
ドイツ各地で中小の映画館がシネマ・コンプレックスに淘汰された感がある。だから、旅行先のミュンヘンで古色蒼然とした映画館を見た時には感激してしまった。看板まで昔ながらの手書きである。ミュンヘン市内には、8つの老舗シネマが今も健在である。その一つは1907年開館で、世界最古の歴史を誇る。
ミュンヘンっ子にとっては、優雅なアンビエンスをもつ映画館はそれ自体がアトラクションであり、社交の場であるらしい。現代人の忘れかけた映画文化がそこにある。
その日、街ではどこでも「強盗クナイスル」をやっていた。地元の伝説的英雄を題材にしたバイエルン・ウェスタンだとか。ドイツでも北の方では、まったく見かけない映画である。こちらは劇場だけでなく、出し物までが独自のローカル路線を行くようだ。