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【一時帰国】日本の水に馴染むゲストワーカー

[初出:2009年1月」

帰省先で日帰り温泉に行ったときのこと。休憩ラウンジで、日系ブラジル人とおぼしき一家に出会った。ひと風呂浴びて、子供たちはかき氷をつつき、父親はサキイカに缶コーヒーという妙な取り合わせでくつろいでいる。日本文化への同化ぶりに感心してしまった。

1990年の入管法改正で、日系人は三世まで日本に滞在が認められるようになった。以来、日本で働くブラジル人の数は増加の一途をたどる。その辺の事情は、アウスジードラーと呼ばれる東欧圏からのドイツ系移民のことを連想させる。しかし、日本と異なるのは、憲法により彼らにはドイツ国籍の取得が保証されていることである。つまり、永住を前提とする受け入れ体制があった。

製造業が不況に直面する今、日系ブラジル人の失業者が急増している。母国としての懐の広さが試されようとしている。

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