革命軍の兵士たち|第4章 1776年の精神|アメリカでの40年間(1821-1861)
Forty Years of American Life 1821-1861
Thomas Low Nichols
革命軍の兵士たち
当時、革命軍兵士(独立戦争時の軍の兵士)の存在なしに軍事訓練、愛国的な祝賀行事、政治集会は完結せず、革命軍兵士はあらゆる地区に存在していました。当然のことながら、革命の老兵の数が減るにつれて、彼らの名誉は増していきました。彼らは政府から老後の生活を快適に送るのに十分な年金を受け取っており、あらゆる公の場では特別な敬意をもって扱われていました。独立戦争で一般兵士として数か月従軍しただけでも、退役軍人、愛国者、英雄として、7月4日の独立記念日の演説や政治演説で称賛される存在となったのです。1776年の英雄たちを最も多く集会に出席させることができた党が、多数派として支持を獲得することはほぼ確実でした。彼らはジャクソン将軍を支持しましたが、ハリソン将軍も支持しました。ジャクソン将軍やハリソン将軍がどの政党に属していたとしても、彼らは当然ながら民間人よりも兵士を好みました。もし民主党がピアース将軍を指名するという幸運に恵まれていなかったら、スコット将軍でさえも選出されていたのでは、と思います。
大統領候補者ハリソン氏の「ハードサイダーキャンペーン」の最中、ニューヨーク北部にある流行りの夏のリゾート地、サラトガでは「ティッペカヌー」とタイラー氏の大規模な選挙運動の集会が開かれました。この集会は非常に大規模で、いくつかの郡から参加者が集まりました。演壇上で目立っていたのは白髪の革命軍兵士の一団で、演説者たちは当然彼らを称賛し、先住民とのさまざまな戦場での英雄に支持を表明していました。演説家の一人は、ありきたりな表現に満足せず、もっと効果的なことをしようと決心し、尊敬すべき愛国者の一人に話しかけてこう言いました。
「あなたは栄光の独立戦争で戦ったのですか?」
「ヤアス!」老人はドイツなまりで言いました。「ヤアス、私はその戦いにいました」
「この白髪の退役軍人はですね、国民の皆さん!私たちの自由のためにあの栄光ある戦いに参加しました。そして今、彼は再び戦うか、もしくは自由のために投票する準備ができています。さて、私の尊敬すべき友人よ、あなたの指揮官は誰でしたか?自由と独立のための偉大な闘争において、あなたはどの将軍の下で仕えましたか?」
「バーゴイン将軍です!」
正直すぎる答えでした。一瞬静まり返ったあと、大きな笑い声が上がりました。バーゴイン将軍は、補給を断たれ、妨害され、包囲されたため、サラトガで全軍を降伏せざるを得なかった不運なイギリス軍司令官でした。この「76年の英雄」は、その部下のヘッセン兵(イギリス側で戦ったドイツ人兵)の一人で、戦争捕虜となりアメリカの田舎に定住していた人物だったのです。彼が革命で戦ったことは間違いないですが、よりによってこの会合の目的からすると間違った立場の人物でした。革命の英雄は何千人もいて、イギリスの指揮官の下で戦った者もいました。ドイツから雇われた兵士やイギリスから派遣された兵士、そしてイギリスに忠誠を誓った入植者たちもいたのです。うるさいことを言う人たちさえいなければ、彼らは満足のいく生活をしていました。