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パスポートと忠誠の誓い|第1章 イングランドのアメリカ難民|アメリカでの40年間(1821-1861)

Forty Years of American Life 1821-1861
Thomas Low Nichols


パスポートと忠誠の誓い

でも、パスポートがない!
アメリカ人はパスポートを手に入れなければならないのです!国は牢獄であり、スワード氏は看守でした。たとえ申請しても、国家反逆罪で逮捕されるかもしれません。緊急事態に対応するために強化された「忠誠の誓い」を立てなければ、パスポートを取得することはできません。けれどそれはしたくありませんでした。

どんな状況でも忠誠を誓わなかったとは言いきれません。というのも、人は自分が何をしたいのか、何をすべきなのか、常にとっさに判断することはできないからです。

そこで私はロンドン行きの船を探しながら、波止場を不機嫌にうろうろしました。汽船はたくさんありました。ジャージー・シティ側のキュナード船の大船団、 サウサンプトンやブレーメン行きのドイツ船団、インマン線。しかし、警察はそれらすべてを監視していました。リバプールの貨物船でさえ安全だとは思われませんでした。しかし、ロンドンのものは乗客が少ないので、見過ごされる可能性が高かったのです。そして実際そうなりました。

ある日、私たちはフォート・ラファイエットを通り過ぎ、ナローズ河口沖の番犬のような軍用汽船を通り過ぎ、ニューヨークの尖塔やスタテン島の美しい丘が見え、そしてネヴァーシンクの青い高地が水平線の下に消えていくのを見ました。万歳! 海に出たのです!

生まれ育った土地を離れる喜び!
なんと苦い喜びでしょう。しかし、喜びなのです。
国を失うのは悲しいことです。
全てを置いて国を失うのは悲しいことです。

祖先の国でさえ、流浪の民、よそ者になるのは悲しいことです。自分の国と呼べるほど、この短い世紀を越えて、すべてが私のものであったのに。私の祖父たちは英国臣民ではなかったのでしょうか?誇り高く忠実で、ジョージ3世を敬愛していたに違いありません。そのうちの 1 人は紅茶を海に投げ捨て、バンカー・ヒルで戦いました。ですが、それは昔のことです。現在のバンカー・ヒルはポトマック川とミシシッピ川沿いにあります。今日の "ヘッセ人 "は、南部を略奪する北部の兵隊です。


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