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川から見た町、水に浮かぶ草原|第16章 ニューオーリンズ|アメリカでの40年間(1821-1861)
Forty Years of American Life 1821-1861
Thomas Low Nichols
川から見た町
川岸にある農園の壮大な眺めは、私にニューオーリンズの街への心構えを与えてくれました。遠くから見ると、街はセントチャールズホテルの輝くドームとキューポラ、大聖堂の四角い塔、そして2つの教会の尖塔だけしかないように見えます。近づくと次に見えてくるのは、船舶のマスト、長い列をなす蒸気船の黒いパイプ、そして多数の蒸気紡績工場の高い煙突です。ミシシッピ川はここでは気高く、深く、木製の埠頭に沿って流れ、その周囲には三日月形に曲線を形成した湾が広がります。
数百隻もの船が、対になって美しく整然と係留され、船首は同じ方向に向けられ、堤防の上の方と下の方に数マイルにわたって停泊しています。それらの船の中でも蒸気船は船首を岸に向け、中央に並んでいます。埃っぽい踊り場に足を踏み入れると、目の前に街が広がります。通りは川から緩やかな下り坂を描いており、裏通りの歩道は川の低い水位まで続いています。満水時に川が堤防を越えてしまえば、すべての店や家の一階部分が川で埋まってしまうでしょう。
水に浮かぶ草原
街全体はほぼ平坦な場所にあり、川から沼地に向かって下っている場所の上にあるプランテーションと同様、わずかな傾斜があるだけです。このような状況で町を建設するのは容易なことではないと思われます。埋める物が何もなかったため、そもそも埋め立てしようと試みることさえしませんでした。ニューオーリンズに地下室や井戸、または発掘現場などというものはどこにもありません。私が知る限り、墓さえもありません。地表から 1フィート下には泥水でいっぱいです。すべての通りの側溝は常に土を排水しており、川の水位が上昇すると表面まで水びたしになってしまいます。その下に何があるのかは分かりません。土砂か、純粋な水かもしれません。この州では、川の西側に大草原があり、馬車でそこを走って行くと、2、3フィートの深さの穴を掘るだけで、深さの分からない巨大な水たまりにたどり着きます。そこでは、大きな魚が釣れることもあります。これが、聖書で言われている「地の下の水」なのかもしれません。