【小ネタ】今まで一番わけわからんかった依頼

 レゴブロック認定ビルダーの三井淳平さんが、2018年3月13日付でXに「今まで一番奇妙だった仕事」として、「タモリさんの人体模型」というのを写真付きで投稿していました。NHKスペシャルからのオファーだったとのことです。
 ご興味のある方はツイッターで検索してみてください。「タモリ 人体模型」でヒットします。

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 正直申し上げると、レゴビルダーさんの「奇妙な仕事」が面白かったので、私もひとつご紹介したいなと思っただけで、以下に書こうするのは、「関係あるっちゃあるけど、ないっちゃない」ものです。

 私は現在、インタビューや会議、講演・セミナーなどの音声を書き起こす仕事をしていますから、内容的にぶっ飛んだものとか、インタビュイーの話が生々しいとかいうのはそこそこありました。
 それらもご依頼の際には「第三者に内容を話さないでね~」という注意喚起はありますし、時にはNDA【秘密保持契約】を結びますから、もちろん秘密は守ります。

 メディアで公開されているのを確認したり、何年も経っているものに関しては、絶対いろいろと特定されないように気を付けた上でネタにしますけどね。うふふ。

 地方議会会議録をつくっていた頃は、「秘密会【地方自治法115条1項参照】」という、非公開会議の音源をよこされたことが一度だけあります。こいつはさすがに「秘密・・って何だっけ…」と混乱しました。

 一応速記士ではあるので、現場で書いてくださいと言われれば、状況次第ではお受けしたいところですが、何年も現場には出ていないので、すっかり腕はサビついていることでしょう。

 しかし、そういう次元ではない、どこに分類していいのか分からない「意味不明なご依頼」が昨年ありました。

 それは、「こちらから指定した文章を速記符号で書いてください」というものでした。何かのWebサイトで画像として使いたいとのことです。
 そこまでご大層なものではありませんが、何かの題字や店名を書家の方にオファーするような感覚だったのではないかと思います。

 しかし、それまでそんな仕事のご依頼は一度もありませんでした。
 そういうものを想定もしていなかったので、相場も分かりません。
 当然先方も分かっていないでしょうし、何円だと言っても高いとも安いとも言われないでしょうから、こちらの言い値が通ってしまうということです。

 私は腹黒の自覚はあるものの、銭ゲバでも詐欺師でもないので、次のように説明しました。

〇速記符号は何種類かあるが、私の使っている符号は「使用人口」が特に少ないと思われる形式である(正式に勉強したことのある人は、故人を含めても多分1,000人いるかいないかと推定される)
〇速記符号というのは、基本的に使用した本人が読めれば事足りるので、同じ形式を勉強した者が書いたものでも読めないことがある。

 この説明をした上で、「それでも構わない」ということでしたので、手間賃程度の金額をお支払いいただき、そこで終了と思っていると、再度のご依頼がありました。

 どうも根本的にご理解いただけていなかったようで、「もう一枚、みんなが読める速記模様を提供してもらえますか?」とおっしゃいます。

 2種類以上の速記符号を操れる人っているのかしらん?
 それとも私が知らないだけで、速記のエスペラント語みたいなのがあるとか?
 (いや、エスペラントだって、基本はなじみのあるアルファベットだしな…)
 その符号を読めるということは、その形式で速記を勉強したことがあるというだけで、「誰でも読める」符号なんてものは存在しないのですが…。

 これ以上続けても水掛け論必至です。
 というか、全く刺さらない矢を打ち合っているだけというべきでしょうか。

 とはいえ、この令和の世に速記なるものに興味を持ってくださった方がいるということ自体は、喜ぶべきだと思います。

◇◇◇

 20代ぴっちぴちの美人議会速記士(自称)だった時代、

「俺の名前、どう書くの?」
「こう、ですね(筆記)」
「へえ、これか。ついでにここに続けて「大好き」って書いてよ」
「ははは(何だこのオッサン…)」

 という、かわいいセクハラまがいのいじりは時々ありました。

 また、近所にお住まいの品のいい見知らぬおじいさまが、「速記を教えてほしい」と事務局に訪ねてこられたので、五十音と連綴れんてつ(符号同士を続けて書くこと。英語の筆記体のような感じです)について簡単にメモをしたものをお渡ししたことがあります。
 正直、それがお役に立ったかどうかは分からないけれど、仕事中にいきなり来られても、ちゃんとにこやかに対応した私、えらい!

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