小説「対抗運動」第8章4 入試と協同組合
おいさん「舞ちゃん、センター試験は受けたん?」
舞ちゃん「うん、ちょっと雪が降って寒かったけどね。あんまり出来んかった。」
おいさん「やっぱり協同組合学科?」
舞ちゃん「おいさん、そんなんないよ。受かったら、政治と経済と語学と文学をみっちりやる。いろんな活動もしながらね。英語は苦手やったけど、毎日ちょっとずつ読むようにして、だいぶ読めるようになったよ。Transcritique の前半のKant は読んだよ。試験に出たら絶対受かると思うんやけど、出んやろね(笑)」
おいさん「いや、わからんぞ(笑) けど、よう読んだね。」
舞ちゃん「暗記するくらい日本語の方、読んどったけんね。あと、遺伝子組み替え、とかイラク問題、パレスチナ問題とか出たらええんやけど。それからキューバ(笑)セクシャルマイノリティの問題にも詳しなったよ。」
おいさん「もう大学に行く必要ないみたいじゃね(笑)」
舞ちゃん「けど、まだ本当には解ってないんよ。なんで協同組合がええんか。おいさんは自信あるん?」
おいさん「いや、おいさんも『トランスクリティーク』だけじゃ。しかも、おいさんは経済のことがまだまだ解っとらんのじゃ。人間は自由で平等じゃということは解る。法の下ではそうじゃ、国民としてもそうじゃ。しかし、現実は違う。そしてこの現実をつくりあげとるんが、政治経済の力じゃ、というんも解る。官庁にも企業内にも自由と平等なんかありゃせんけんね。けど、協同組合いうんは、企業内に自由と平等をもたらそうとするもんなんじゃ。しかし、これが拡がっていくためには、現実を支配しとる政治経済の力、つまり今の政治制度そして通貨と信用制度に替わる仕組みも要るんじゃ。」
舞ちゃん「ふーん、やっぱりもっともっと勉強せないかんね。本番まであと2週間、受かるように、英語もっとがんばるよ。Marxの4.5くらいまでいけるやろ。」
おいさん「期待しとるよ。おいさんは、結構たくさんある協同組合が、どうしたらつながっていけるか、いろいろ考えてみるよ。」
続く
執筆:飛彈ゴロウ、2004年2月3日
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