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人口減少社会への対応を高卒就職問題研究の立場から考える~地域別最賃制度改革の必要性~

高卒就職問題研究のtransactorlaboです。田舎の高校で教職の傍ら、問題改善のための調査研究、発信を続けております。
北陸地方における震災および羽田空港での事故の関係者の皆様、心より哀悼の意を表します。

2025年元旦、地元紙を含む4社の新聞をまとめ買いし、比較しながら読みました。これをやるようになって10年ぐらいになりますが、そのたびに「オレもオッサンになったなあ」と自嘲します。

一番刺さったのは日経。「人口減少社会への対応」、「古い常識との決別」が柱になっていました。私もそうだと思います。

意外なことに2番目は地元紙(名前は伏せます)。「地方創生政策は10年目を迎えるが・・・」をメインテーマにしていました。要約すると、さっぱり成果が見えないどころか地方衰退と東京一極集中はさらに進行しているじゃないか、でした。私もそうだと思います。

どの新聞でも賃上げは取り上げていましたが、最低賃金制度改革に関する言及は、私が見た限りではなかったようで、それが少し残念でした。

この日本の最低賃金制度改革。「古い常識との決別」、「人口減少社会への対応」にも、「地方創生」にも共通する課題で、これをうまくやらない限り、そのどれも成功するわけがないだろうと言えるほど重要なものなのです。

日本の最低賃金制度の何がダメなのかというと、全国一律でなく都道府県別ごとに細かく違う「地域別最低賃金制」である点です。世界的視野で見ると珍妙と言われるほど希有な制度です。まず、これを現代の常識にあった適正な形に修正しないことにはなんともならないと私は思います。

県境を境に一人の人の最低労働単価が変わるこの地域別最低賃金制度。おかしなことはたくさんあります。川とか道路を挟んで、こっち側は時給900円、向こう側は930円だったりする。100円近く違うところもある。安い方で働きたいと誰が思いますか?

地域別最賃制度ができたのは、はるか昔、昭和34年の最低賃金法の施行「最低賃金法 第2章第2節(地域別最低賃金)」の規定によります。当時の交通事情ではこの制度は一定の機能を果たしたのでしょうが、東京一極集中と地方の衰退を招くことは想定外だったと思われます。

高卒就職の世界では「高卒初任給は最賃に貼り付く」という言葉が定着しています。高卒初任給の上がり具合が求人倍率の変化の影響はほとんどなく、最賃額の上昇に沿うものでしかないという現象、あるいは統計結果を表現した言葉です。

私が居住する地域と東京の最賃額の差は約150円。一ヶ月あたりの標準的な労働時間175時間をかけるとその差は26,250円になります。高卒就職の場合、東京には大きな独身者寮(2食まかない付き)に3万円以下で住めるところが多くありますが、地方にはそのような充実した福利厚生のある求人はほとんどありません。クルマがないと通勤も生活もできないところでは、親と同居しない限り高卒就職者が自立した生活を営むことは困難です。

地方創生の目標達成はこの状況を何とかしない限り無理だと私は思います。

「高卒初任給と最賃は互いに足を引っ張り合う負のループの関係にある」と私は考えています。高卒初任給が地域の最賃額算定の主要な要素として使われているからです。ちなみに英語のloopyは「愚かな」、「バカな」の意味。

このloopyな関係は、高卒求人情報の閉鎖性、つまり待遇相場が求人側に流れない構造によって生じる市場としての不健全性のひとつの現れで、情報が少ないものだから求人企業がまっとうな判断ができにくい状況が長く続いているせいだと思われます。

高卒初任給は一般労働者の給与体系のベースです。それが地域の最低賃金算定の材料になります。また、当該地域のパート・アルバイトの人々の収入を決めるものになります。そして、まわりまわって私やあなたの給料にも少なからず影響しています。

時代に合った制度見直しって、大事ですよね。

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