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高卒就職問題「社長、若い人が欲しければ・・・」

 高卒就職問題研究のtransactorlabです。田舎の高校で教員をしながら問題解消のため研究と提言を行っております。年度末年度初めのドタバタで忙殺され、しばらく投稿できておりませんでしたが、また再開します。

 新年度となり高卒新卒人材獲得に向けて事業所の皆さまも動きだしておられるころかと思い、高校現場からのアドバイスを何点か申し上げたいと思います。

(1)月給と年間休日数を地域の平均より上に

 高卒就職市場は現在、超々売り手市場の状態にあります。私が調べたところでは、公開高卒求人の充足率は10%程度でした。そしてこの状況はおそらくずっと続くでしょう。月給と年間休日数の数字が地域の平均以下では応募がほぼないとお考えになったほうがよいかと思います。

充足率

 最低賃金ベースの考え方は捨てましょう。少なくとも私は最低賃金ラインギリギリの求人票を生徒に勧めることはいたしません。

 求人を出すには相当の手間と時間がかかるものですが、ある一定の数字条件をクリアしていなければパソコン検索の段階でハネられ、先生や生徒の目に触れることすらないまま来春を迎えることになります。

高卒就職市場相場情報提供Transactor Laboratoryhttps://transactorlab.wixsite.com/my-site-1

 上記ホームページでは私が収集した2020年度の都道府県別高卒求人の統計資料を公開しています。下のような年間休日数と月給を軸に一枚一枚の求人票をプロットしたグラフ資料や地域ごとの統計数値情報を載せてあります。

 御社の待遇条件をお考えになる際に参考していただければ幸いです。

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(2)7月1日公開に間に合うように申請を

 7月1日の求人票公開開始日、遅くとも10日ごろには出ていないと充足が難しいのが現状です。応募前職場見学に数社行くことがあたりまえになってから、夏休みに入る前に候補を絞りこまないといけなくなりました。彼らが求人票を選ぶ時期は7月半ばまでです。

 お盆前には一通り見学が終わりますし、保護者面談や履歴書志望理由欄を書くのに一生懸命になっている時期です。よほど魅力的な条件が提示がなければ遅れて出た求人票が彼らを振り向かせるのはほぼ無理です。


(3)高卒新卒を採る前に20歳代の若手を

 高卒新卒者が早期退職する理由はいろいろありますが1年もたずに辞めてしまう理由で一番多いのは「職場の雰囲気になじめない」です。そういった職場の年齢構成を見ると、年が一番近い先輩が40歳など、年の近い先輩の不在が目立ちます。逆に辞めないで続いているところでは、3年から5年おきぐらいの幅で若い人がいるという特徴があります。


(4)労働環境の改善を

 就職希望の生徒が応募するかどうか最終的に決めるのは応募前職場見学です。その際、彼らの記憶により強く残るのは、採用担当の方や社長さんのお話ではなく、働いている方々の表情と仕事場の空気です。

 長年働いているベテランの方々よりもなるべく若い社員の方々のご意見を参考にされるとよいかと思います。

 余談ですが、

 数年前、ある工場の労働安全衛生環境改善と若手社員の育成にかける熱意と具体的な投資に大感動したことがあります。日産自動車関係の部品工場でした。そういった努力の全てが品質の向上、会社の利益、社員の幸福、そして社会への貢献につながる・・・是非教え子の面倒を見ていだきたいと本気で思いましたし、私自身もこういうところで働けたら・・・なんて考えてしまいました。文科省と財務省さんもちょっとでいいから真似していただけないものでしょうか。


 高卒就職市場は平成27年ごろから超売り手市場に転じ、求人倍率3倍前後となっています。公開求人の充足率は10%程度、それほど高卒新卒者の獲得競争が激しくなっています。しかし、それにもかかわらず高卒就職者の待遇は奇妙なほど上がっておりません。これは高卒就職の相場情報が市場に不足しているため、公正な競争が阻害されているためだと私は考えております。ちゃんとした情報があればみなさんもっと条件を上げるはずですから。

 3~4割の高卒給与が最低賃金ライン+10%・・・全国の公開高卒求人を調査して分かりました。超売り手市場が何年も続いているのに、です。これは同時に地域別最低賃金という日本のおかしな制度とマイナスのループを構成しています。

 高卒初任給は全ての労働者の賃金体系のベース。その多くが市場相場ではなく最賃をもとに作られる。一方、地域別最低賃金は当該地域の労働者の収入と生計費を参考に作られる。かくして若い世代の生活が豊かになることはなく、結婚数が増えず、少子化がさらに進行し、国は衰退します。この悪い流れを変えるには、高卒就職市場についての情報をきちんと社会全体に供給し、公正な競争を機能させることが不可欠なのです。

 厚生労働省所管の「高卒就職情報提供WEBサービス」がその情報の流れの源です。このWEBサービスは2021年4月現在、一般に公開されておりません。この閉鎖性を解くことが必要だと私は思うのです。


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