英語発音にルールなどない
僕は、ルールと傾向というふたつの言葉をかなり慎重に使い分けています。具体的には:
ルール:人為的に何かしらの意図をもって作られた、従うべき規範
傾向:どのような事象が表に現れていて、全体としてどのような特徴があるか
です。ピリオドと次の文の先頭の間には半角スペースを入れる、というのはルールで、チャンクの末尾に来る /p/ は無破裂化することがある、というのは傾向です。
そして、「発音のルール」という説明をする人がたくさんいるのですが、この言葉の使い方にはいつもひっかかります。今回はそのような事情をふまえて、なぜ「発音のルール」という説明はおかしいのか解説します。
発音はルールではない
ルールは従うべき規範です。そして、「発音のルール」と言ってしまうと、その発音ルールに従わない発音はルール違反になってしまいます。僕は、発音による優劣や差別はぜったいに避けるべきであると考えているのですが、「発音のルール」という言葉は発音による差別を助長します。ルールに従う人と従わない(従えない)人が出てきて、これが意識の分断につながるからです。
また、「ノンネイティブの発音に対する考え方はこうであるべき」の記事でも説明していますが、発音はあくまでも「機能するかどうか」を基準に良・不良を判断すべきであり、ルールに従うか違反するか、で区別すべきではありません。
たしかに、辞書に載っている発音記号で表現される音はある意味「正解」なのですが、それはあくまでも、みんながそのように発音しているがゆえに標準的とされている発音です。事実、辞書に書いてある発音記号の前には必ず、UK や US など、どの国の話者がそのように発音するかが書いてあります。UK や US の人はこのように発音する傾向がありますよ、という事実を一般化した情報が発音記号で表現され、辞書に掲載されていると考えるのが自然です。繰り返しですが、ルールではありません。
発音学習はモノマネ
上記を踏まえると、「発音学習とはモノマネです」と説明することができます。つまり、すでに誰か別の人がいて、その人(たち)の話す英語の音的特徴や心理的態度を理解し、それをモノマネしてこちらにトレースする、これが、発音学習であると説明できます。
ですから必然的に、発音学習では「観察」が必須になります。集団を観察し、特徴を抽出し、それをトレーニングで自分のものにする、これが、発音学習の全体像です。
さいごに
繰り返しになりますが、発音には人為的に定められたルールなど何一つありません。あるのは傾向であり、特定の話者集団がどのような心理的態度で音を出すか、というマクロな情報です。
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