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時制の一致は質の悪い人造ルールである
前回の記事で、「時制の一致なんてものはないよ」という説明をしました。
今回はこれに関連して、なぜ時制の一致なるものが今の今までまかり通っているのか、時制の一致がないなら何を基準に時制が決まるのか、という話をします。
相対時制と絶対時制
まず、英語と日本語には、絶対時制と相対時制の違いがあることを理解する必要があります。
英語の時制は「絶対時制」です。基準が臨機応変に変化する相対的なものではけっしてなく、「今」という唯一不変の基準からみて視線の先がどこにあるかを判断します。
対して、日本語の時制は「相対時制」といって、文脈しだいで時制の基準がコロコロと変化します。たとえば:
①たかし君が昨日ステーキを食べたいって言っていたよ。
②明日たかし君が来たらスマブラをやろう。
のように、時制の基準が今以外になることがあります。①の場合、「言う」という動作が基準になっているため、時間的にその後にくる「食べる」という動作が「食べたい」で表現されています。②の場合、「スマブラをやる」という動作よりも時間的に先行する「来る」という動作が「来た」で表現されています。
時制の一致はつじつま合わせの人造ルール
ここで、前述の①の文を英訳すると、以下のようになります。
Yesterday, Takashi kun told me that he wanted to have steak.
「ステーキを食べたい」は、wanted to have steak の箇所に対応します。この際に、絶対時制と相対時制の差異に起因する「ずれ」が発生しますが、これを fix するために後付け的に持ち出されたのが、悪名高い「時制の一致のルール」です。和文と英文でつじつまが合わないことは上記の説明をふまえると至極あたりまえのことなのですが、これをむりやり、ボルトオン的に直そうとしたために、時制の一致が誕生したわけです。
さいごに
あたりまえですが、英語をつかうときに日本語の都合をもってくる必要性などまったくありません。時制の一致は和訳ありきの人造ルールですから、英語の技能を習得するうえでまったく気にする必要はありません。
また、主節の動詞の時制と従属節の動詞の時制がなにかふしぎな力で連動していて、お互いの顔色をうかがいながらカメレオンのように時制が変化するわけでは、決してありません。そうではなく、今という唯一の基準点から見て今なら現在、過去なら過去という、きわめてシンプルなメカニズムで時制が定まります。
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