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【英語学習】TOEIC スコアとの向き合い方

英語力の証明に TOEIC が使われることが今ではあたりまえになっており、TOEIC のスコアを水戸黄門の印籠のごとく明示したことがある、あるいはされたことがある人も多いと思います。

ただ、TOEIC のスコアを伝えることがほんとうに英語力の証明になるかというと、いささか疑問です。この記事では、TOEIC のスコアと英語力の相関は実際どうなっているのかについて、僕の考えをまとめています。また、この記事でいう英語力は、いち言語としての英語を運用する技能、であるとします。

「どれくらい英語ができないかの証明」にはなる

TOEIC のスコアは「英語力がどれくらいないか」の証明には間違いなくなります。現実問題として、英語力がないことを証明しなければならないシーンはめったにないでしょうが、もしそのような状況になった場合には、TOEICの低スコアを示すスコアシートを持っていけば、十分な証拠になります。

というのも、英語力があれば TOEIC でハイスコアをとれることは間違いないため、その対偶である、TOEIC でロースコアであれば英語力がない、という命題もまた真であるからです。

スコアの僅差にあまり意味はない

スコアのわずかな差にほとんど意味はなく、これは以下で説明するように、極端に低得点または高得点の場合に特にあてはまります。

極端に低得点の場合、具体的には300点や400点台の場合、当てずっぽうで塗ってたまたま正解になる運要素がスコアに占める割合が高くなるため、このスコアレンジでの数十点単位の誤差はほとんど意味を持ちません。

また、極端に高得点の場合も数十点の誤差に意味はなく、900点台の人が次に満点を取るために TOEIC に固執する必要もたぶんありません。TOEIC の場合、(僕も経験がありますが)突然ぼーっとしてしまって手がとまったり、聞き逃すこともあります。なにせ 2 時間集中して取り組まなければならないテストですから、英語力うんぬんとは別の「たいして面白くない単調な作業に 2 時間ぶっ通しで取り組むスキル」も必要になります。

ハイスコアが示すものは何か

では、ハイスコアが示すものは何かというと、それは英語力の醸成、完成の「必要条件」を満たしましたよ、というサインです。スコアがある程度高ければ、「いい感じじゃん、はよ英語つかいなよ」という状態、スコアが低ければ、「英語の運用現場に出てもにっちもさっちもいかないだろうから、もうちょっと知識面で頑張れ」という状態であることを示唆します。

事実、TOEIC の開発に携わった日本人の方も、ある程度のスコアを超えたらさっさと英語を実際に使え、と説明しているそうです:

いつも面白い note 記事を書いている Chi さんの記事の中にも、上記記事の引用の形で面白い説明があります。

高得点でも英語が使えない人がいることは「あたりまえ」

800点や900点などのいわゆる高得点でも英語が使えない人がワラワラいるという話は、上記の「TOEIC ハイスコアは英語力醸成につながる必要条件を満たしたことを意味する」という話から誘導されるあたりまえの話であり、「そりゃあ、必要条件を満たしただけだから英語の運用技能に未達な人がワラワラいるのは、あたりまえだよね」という話です。

TOEIC に取り組んだ人ならわかると思いますが、TOEIC の問題で取り上げられる内容はきわめて限定的であり、TOEIC の様式美ともいえそうなテンプレ的ストーリーになっていることがほとんどです。業者やホテルはトラブルをしょっちゅう起こす、公共交通機関は定刻通りに動かない、大事なメッセージは留守録で済ませるなど、独自の世界観が TOEIC にはあります。

そして、そのようなきわめて限定的なトピックに触れた後、野生の英語に触れて面食らうのは当たり前の話です。野生の英語に多く触れた人は TOEIC の問題を難なく解けるでしょうが、TOEIC の様式美にはまったコンテンツのみに触れた人が、野生の英語にうまくとけこめるかというと、疑問です。

まとめ

  • 低スコアであれば、英語力がないことの十分な証明になる

  • スコアの僅差に意味はほとんどない

  • ハイスコアが示すものは英語力醸成の必要条件の達成

  • TOEIC はやりたい人がやればいい

といえます。やや乱暴な意見ですが、TOEIC はやりたい人はやればいいし、やりたくないのなら別にやらなくてもいいと思います。TOEIC を趣味的にやっている人もたくさんいるでしょうし、それ自体が楽しいのであればそれは健全な取り組みです。いずれにせよ、TOEIC のスコアの数字自体に過度な意味づけはなく、単なる「おもちゃのつるぎ」程度に考えた方がいいと思います。

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