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ジーン・ウェブスター「Dear Enemy」ペンギンブックスp.340~341

1月27日
マクレイ先生へ

 この手紙、先生がお目覚めのときにうまく届きますでしょうか? たぶん先生はお気づきでないでしょうけど、私4回もお宅に伺ったんですよ。お礼を申し上げたり、見舞い客として完璧な振る舞いをお見せしたりしようと思って。ギプスで固められた不愛想な英雄さまのファンだとかいうご婦人がたが、花束やらゼリーやらチキンスープやらのお見舞い品を持ってくるものだから、マクガーク夫人はその対応でてんてこ舞いしてるそうですね、感動的なお話です。先生は、華やかな帽子をかぶった方よりも、手織り生地の帽子をかぶった人間のほうに親しみを感じる方だと存じてますけど、とにかく私、先生は私のことを、そんなご婦人がたとは違う風に見てくれてもいいはずだと思っています。先生と私は友だちでしたよね(途切れ途切れではありましたけど)。まあ、私たちが付き合っていく中で、消してしまいたい出来事の1つや2つはありましたけど、それでも、その程度のことで私たちの関係がまるっきりだめになってしまうなんて、納得できません。私たち、もっと大人になって、あんなことは消し去ってしまいませんか?
 あの火事のおかげで、こんなにも予期せぬ親切と慈善とがもたらされました。先生からも、ちょっとくらい何かあっていいんじゃないかなあと思います。ねえ、サンディ、私はあなたのことをよく知っています。世間に対しては、不機嫌でそっけなくて愛想がなくて、科学的で人間味のない態度で、さらにスコットランドぶってらっしゃいますけど、だまされません。私は新たに鍛えられた心理眼で、この10か月間、先生のことを見てきました。それで私、ビネー式テストを応用してみたんです。先生は、本当は親切で、思いやりがあって、賢くて、人を許すことを知っている、心の広い方です。ですから、次に私が伺ったときはぜひ家にいてください。それで、時というものに外科手術を施して、この5か月を切除してしまいましょうよ。
 私たちが孤児院から抜け出した、日曜の午後を覚えてらっしゃいますか? あのとき、どんなに楽しかったかってことを。ほら、いまはあの次の日です。

サリー・マクブライド

追伸
 私は図々しくもまた伺いますから、先生もぜひ会ってくれなきゃ困ります。次でだめなら、もう二度と行きませんので! それから、私はベッドカバーに涙をこぼしたり、ギプスのお手にキスしたりなんか絶対しませんからね。どこぞのご婦人がそんなことをしたって聞きましたけど。

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