ジーン・ウェブスター「Dear Enemy」ペンギンブックスp.310~312
(続き)
考えてもみて! こういう、健康的で元気いっぱいの篤志家が、みんな、この孤児院の目の前で無駄になってるのよ。近所には、もっともっとこんな活動の種があるはずだと思う。それを発掘することを、私は仕事にしなきゃ。
私がいちばんしたいのはねえ、親切で可愛らしくて賢い娘さんを8人ばかり、1週間のうち1晩ここへ呼ぶことなの。彼女たちには、暖炉の前で子どもたちがポップコーンをつくる間、すわってお話をしてもらう。私ね、うちの子どもたちを、もっと一人ずつかわいがってやりたいのよ。わかるでしょう、ジュディ。私、あなたの子ども時代を思い返して、どうにかそのすき間を埋めようと頑張ってるの。
先週の評議員会は大変うまく行きました。新しく入った女性たちはとてもよくやってくれて、男性も親切な方ばっかり。嬉しいことに、サイ・ワイコフ閣下はいま、結婚してスクラントンにいるお嬢さんを訪ねてるんですって。このお嬢さんが、お父さんとずっとこっちで一緒に暮らしたいわ、なんて言ってくれればいいのにね。
水曜日
私いま、ドクターに対してすごく子どもじみた怒り方をしています。これといった理由はないんだけど。彼はずうっと、誰にも、何にも興味を示そうとしないで、ただ淡々とした無感情な態度を貫いてるの。ここ2、3か月は私、いままでの人生になかったくらいに屈辱を味わわされて、なんとか意趣返しをしてやりたいっていう気持ちが恐ろしいほどに湧いてきてる。少しでも時間ができると、どうしたら彼がものすごーく苦しんで、私に助けを求めてくるだろうかって、その状況を思い浮かべてばかりよ。いざそのときが来たら私、ものすごく無神経に肩をすくめて、くるっと背を向けてやるんだから。かつてあなたが知ってた、優しくて陽気なサリーからは、どんどんかけ離れた人物になっていくわね、私。
(続く)
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