ジーン・ウェブスター「Dear Enemy」ペンギンブックスp.310
12月14日
ジュディへ
手紙をくれるとき、ぜひ内側にも外側にもいっぱい切手を貼ってちょうだい。うちには、切手収集家が30人ばかりいるの。あなたが旅に出てから毎日、郵便配達の時間になると、熱心な子どもたちの集団が門のところに集まって、外国から来た手紙をくすねてやろうと待ちかまえてるのよ。このしつこい追いはぎどもが手紙を奪い合うものだから、私の手元に来る頃には、手紙はびりびりになっちゃう。ジャービスさんに、ホンジュラスの、紫色のマツの木が描いてある切手をもっと送ってほしいって伝えてくれる? あと、グアテマラの、緑色のオウムのも。どれだけあっても使いきれるから!
あの無気力だった子どもたちが、こうして何かに夢中になれるなんて、素晴らしいことじゃない? うちの子たちは、もうほとんど本物の子どもになってる。昨夜は、B棟で自発的に枕投げが始まったのよ。リネン類の不足にあえいでる我々にとっては困ったことだけど、私はそばで笑いながら見物して、自分でも枕を投げたりしたわ。
先週の土曜日は、あの、パーシーさんの素敵なお友だちお二人がこちらへ来て、午後じゅう男の子たちと遊んでくれました。お二人はライフルを3丁持ってきてたの。で、うちのインディアン・キャンプを一人一団ずつ率いて、午後は射撃コンテストをして過ごしてたわ。勝ったほうのキャンプには賞品も出るの。お二人が持ってきてた賞品は――革に描かれた、インディアンの残忍そうな顔。ひっどい悪趣味。でもお二人はそれがいかすと思ってるみたいだから、私も全力で褒めておいた。
コンテストが終わると、私は体があたたまるようにクッキーとホットチョコレートを出してあげました。男性陣も、うちの男の子たちと同じくらいに楽しんでくれたと、心から思うわ。私よりも楽しんでたことは確実。私はみんなが銃を撃ってる間ずっと、女性の常として、ハラハラしっぱなしだったのよ。だって、誰かがほかの子を撃っちゃったりしたら怖いじゃない。でももちろん、わかってるの。24人のインディアンを、いつまでも私のエプロンのひもにくくりつけておくわけにはいかないってこと。それに、こんなに子どもたちを夢中にさせられる男性3人は、世界じゅうのどこを探したって見つかりはしないってことも。
(続く)
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