キャンプLog ~高原の暴風雨が奪ったものとくれたもの~
令和3年5月2日(日)深夜、私たち家族のキャンプライフを5年に渡って支えてくれたテントが破壊されました…。
これは我が家が経験したある恐怖体験とそれをきっかけとして私たち家族が得たものの話です。
今回初めて訪れたキャンプ場は岩手県北上市にあるGETO CAMP FIELD。
冬季~春季は夏油高原スキー場としてスキーやスノーボードを楽しむ方が多く訪れる場所ですが、ウインタースポーツのオフシーズンはキャンプ場として高原が開放され、トレッキングやマウンテンバイク、SUPなど様々なアクティビティが楽しめる場所としても人気があるようです。(ちなみに5月現在の夏油高原にはスキーヤーやスノーボーダーはまだ結構居て驚きました。)
キャンプ場へ着くまでの道程は緑豊かな自然はもちろん、きれいな川や入畑ダムもあり目的地へ到着するまでのワクワク感を演出してくれています。
自然が大好きな私はドライブの途中で何回も車を降りて景色を楽しんでしまうためなかなか目的地には着けませんw。下の写真は道中で撮影したものですが、雪×桜×新緑という冬から初夏の季節がミックスされているおもしろい風景です。標高が高い場所ならではの景色ですね。
夏油は温泉郷としても有名な場所で温泉の数や種類も豊富です。キャンプ場にも温泉があり、一回の入浴料金で滞在中は朝風呂も含め、何回でも入浴できるというシステムは温泉好きの私にはポイントが高かったです。浴室全体も広くてキャンプ場が混んだとしても窮屈感はなさそうです。高台にある展望露天風呂などはすごく開放的で気持ち良かったですよ。
(↑写真は同キャンプ場HPより引用)
温泉といえば、キャンプの帰路で立ち寄ったこちらの【美人の湯 瀬美温泉】もとても良かったです。施設では【長寿の湯】【夢の湯】【美人の湯】という泉質の異なる3種類の温泉が楽しめるのですが、個人的な好みでは【長寿の湯】の泉質や温度が一番丁度良く、心地良かったです。
ちなみに【美人の湯】の露天風呂は混浴になっています。慣れないと少しドキドキ感はありますが、家族みんなで入れる温泉は稀少なので私たち家族も待ち合わせて入りました。(このタイミングで結構大粒の雹(ひょう)が降ってきて結構イタ楽しい思い出になりましたw)
さて、話をキャンプに戻しますが、今回宿泊したのはオートフリーサイトでした。キャンプ場にあまり詳しくない方のために少し補足説明します。
オートサイトというのは、テントを張って泊まる場所に車を乗り入れ、横付けできるサイトのことです。荷下ろしや積み込みが楽になるというメリットや車をそのまま収納や電源としても使用することが出来ます。いざという時の安心感もありますね。オートサイトでない場合は、離れた駐車場に車を停めて、そこからリヤカーやキャリーで荷物を運ぶという手間があります。
フリーサイトというのは利用者同士の境界線が無い広場のサイトで、好きな場所にテントを設営することが出来るサイトのことです。景色の良い好きな場所に設営できることはメリットなのですが、その一方で良い場所は早い者勝ちとなります。広い場所ですし、予約が取れている時点で場所が無くて泊まれないということは無いですが、時間に余裕を持った早めのチェックインがオススメです。
フリーサイトではない、区画サイトというのもあり、そこはキャンプ場が一定の面積で区分けされており、利用者は指定された場所にテントを張ります。区画サイトの場合は電源や水道が備え付けられている場合もあり、比較的初心者には易しいです。しかし、大型のテントを使用する場合は、十分な面積が区画内にあるか事前に確認する必要があります。
今回は余裕を持ってチェックイン出来たのですが、GW期間中だったこともあり、前泊している利用者の方々が少しいました。それでもまあまあ良い場所を見つけてテントを設営し始めたのですが、そのタイミングで天気が荒れ始めました。空は暗くなり、雨風が少し強くなってきました。一瞬(うわー…)と、ためらう気持ちになりましたが、雨の日のキャンプにも慣れていたので、そのまま準備を継続しました。普段着る機会が少ないレインジャケットを着たり、雨の音や雰囲気を楽しんだりと、雨には雨の楽しみ方もあるのです。
雨風の中でもなんとか設営を終え、落ち着くことが出来ましたが、次第に風が強くなっていきました。多少の心配もありましたが、ペグ(杭)もしっかり固い場所に打ち込んでいましたし、風対策は出来ていました。また、それなりの経験値もあったので何かが起こってもある程度は対処出来るだろうというそこそこの自信もありました。
時間の経過と共に風は強さを増していきました。ものすごい音と共にテントが風でバタつき、ポールもだいぶしなっています。テントの中にいるので飛ばされることはないだろうと思っていましたが、妻はとても不安そうでした。
気象情報を調べて見ると平均風速はすでに20mを越えていました。これはもう人が立っていたり、普通に歩いたりするのは困難なレベルで、高速道路を走行する車と同じくらいの風の強さです。(スピードを出している車の窓から手を出すと手を後ろに持って行かれる感覚分かりますか?あの感じですw)それを知ってもキャンセルはせずに、そこへ居座るという選択をする妻はなんだかんだで強いと思いますw
辺りが暗くなってきたので、私はロープの張り具合を確認するためににテントの外へ出てみました。広いサイトの中、遠くに点々と宿泊テントの灯りを確認できましたが、大半の宿泊客はキャンプを諦めて避難しており、私たちテントの周りには誰もいない状況でした…。(いつの間にか高原がほぼ貸し切り状態w)
強風注意報が出されており、キャンプ場の管理側からも宿泊が困難な場合は宿泊スペースを提供してくださるとのオファーがきました。(これはいよいよまずいかもな…)と思いましたが、2泊する予定もあったので判断に迷いましたが、家族で相談しテント泊を続行しました。
テントに戻り、轟音と共に大きく揺れるテントの中で妻とふたり顔を見合わせて「わざわざ快適な家を離れて、こんな嵐吹き荒れる山奥に何しに来たんだっけ?w」という話にw。(ちなみに大物の息子は特に動じることも無く、非日常を楽しんだ後、早々に寝袋の中でスヤスヤ眠っていましたw)
穏やかな天候の時は、あまり深く考えることもなく、野外での料理やお酒、星空の下や焚き火を囲んでの会話など、それぞれを楽しんで過ごしていましたし、それはそれで最高の気分転換になっていたので良いと思います。
しかし、今回のような大変な状況、つまり、予定していたやりたいことも出来ず、どちらかというと我が身の心配をしなければいけないような状況に追い込まれて初めて普段とは異なった意識で、また、より真剣に、キャンプへ来た理由や目的を考えることとなったのです。
私はどちらかというと直感型の人間ですし、特に理由を必要としていた訳ではありませんでしたが、良い機会なので家族でブレスト(ブレインストーミング)をして言語化を試みました。
・とにかく自然を身近に感じたい(芝サイトでは靴も履きませんw)
・非日常に身を置くことで思考やストレスをリセット出来る
・工夫次第で簡易的な自分の理想空間を創ることができる
・カブトムシやクワガタなどの昆虫や小動物との触れあいができる
・焚き火や木々の揺らぎなどの効果でリラックスできる
・焚き火が出来る場所がキャンプ場くらいしかない
・多少の不便さを体感することで日々の快適な暮らしに感謝できる
・自然の中で会話や思考にふけりたい
・多少のサバイバル能力が身に付く
いろいろ案出ししてみましたが、主な目的としては、
・非日常に身を置くことで思考やストレスをリセット出来る
・静かな自然の中で会話や思考にふけりたい
というところでしょうか。
自然の中に身を置き、普段とは環境を変えることで余計なものが思考から排除されて、リラックスできるのはもちろん、次の瞬間には色々なものが頭に浮かんできます。
今回のキャンプは穏やかなリトリート、というよりは雨風に余計な思考を強制的に洗い流された感じかもしれませんがw。
結局、翌朝までなんとか無事宿泊できたものの、カーボン製のテント支柱や金属は折れ曲がり割れていました。テントの幕も一部破れてしまい、ちょっとこれ以上の使用は難しそうです。
テントは約5年間愛用しており、愛着もありましたが、一方で買い換えも検討し始めていました。なかなか購入を決断できずにいたので結果的には良いきっかけを与えてもらったと感謝しています。
また、身の危険を感じるほどの暴風雨の中でも、始終落ち着いていた私の様子を見て家族は不思議そうに私にたずねました。
「なんでパパはそんなに落ち着いているの?自衛隊で慣れてるの?」
私は少し考えてからこう伝えました。
「何かが起こったとしてもたいていのことは対処出来るから大丈夫。だと思うw。もし対処できないような事態が起きたら、たとえば、強風でテントや物が同時に飛ばされそうになったとしたら、もうダメだろうね。たぶんこの風ではこらえきれないし、危ないから全部飛ばしちゃうと思う。でも、その中に本当に大事なものは何も入ってないから無くなったとしても大丈夫だよ。大事なものは守れる。」
私自身あまり深くは考えていませんでしたが、妻はえらく納得してくれたのと同時に【頼れる男】として再認識してくれたようで、思わぬ収穫が得られて少し嬉しかったですw。
また、家族からのフィードバックを通じて、物への執着はある程度手放せているのだなと改めて自覚できたことと、自分にとって大事なものが何かを分かっていると迷わない判断ができるということは、人生における様々な選択にも共通して言えることだなと思いました。
さらに言うと、何が大切かどうかの判断軸を自分が持っているかですね。
私が現在のような自由度の高い生き方を選択出来る様になった土台のひとつとして、こういった考え方があったのかもしれません。
話は変わりますが、今後私は週次くらいのルーティンとして、平日夜に仙台市内のキャンプ場を利用した【仕事終わりの焚き火タイム】を取り入れていこうかと考えています。最近本を購入し個人的に研究熱が高まっているのでw。(それなのに今回のキャンプでは未遂に終わったので余計に悔しい。)
ひとりは少し寂しいので誰かと一緒に、ゆるイベントとして開催出来たら嬉しく思います。お近くで一緒に行きたい方はぜひお声がけください。
日常の中に瞑想を習慣として取り入れている方は多いと思いますが、私の場合は家の近くの森へ行き、散策するという行為が日常のそれにあたるのかなと思います。(瞑想の代わりとしてやるには時間と体力のコスパ悪いですがw)
ちなみに我が家はほぼ毎月キャンプに行くという習慣があるので、整理するとこんな感じ;
・日々⇒森を散策し季節の変化を楽しみつつ着火剤を調達する
・週次⇒焚き火を研究しつつ、ゆらぎ効果の前で思考や会話を楽しむ
・月次⇒キャンプへ行きとことん楽しむ
それでは、来週末のリベンジキャンプに向けて、新たなテントを探しにいってまいります!w
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