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デ-インフルエンサー、デスインフルエンサーと邦題について私が知っている2,3のこと

こんにちは!
今日はどんな日ですか?

先日英語のメディアを漁っていたら、deinfluencerという単語が目に飛び込んできました。

これはおもしろそうだ。

de-という接頭辞は「離れて-」とか「下へ-」を意味します。
例えばカフェイン抜きのコーヒーをdecafと言うことがありますが、これはdecaffeinated coffeeの略。
構築がconstructionで脱構築がdeconstruction

だからdeinfluencerは「脱インフルエンサー」ってことかな?

アメリカ、イギリスの複数のメディアで確認してみました。

デインフルエンサーもインフルエンサー同様、ネット上で影響(influence)を与える発信者です。違うのはそのメッセージの内容で、従来からのインフルエンサーが「これ買わない人は置いてかれるよ!」と言うとすれば、デインフルエンサーは「そんなになんでもかんでも買わないで大丈夫。落ち着いて」とか「ファストファッションはクールじゃないから」といった発信をしているそう。
特定の製品について「○○を買わないで」というメッセージも見受けられます。

デインフルエンサーの中には、自分も過去にインフルエンサーを信じてたくさん買い物をしたが、ある日そのどれも使っていないことに気付いた、という人も。

テレビCMなどであれば、それが宣伝だと誰の目にも明らかですが、Tiktokでフォローしてる人に勧められると、友達や家族からのアドバイスのように感じてしまう人もいるそう。

これ、ファーストフードfastfood(速い食べ物)に抵抗してスローフードslow foodが出てきたのと似てますね。

デインフルエンサーに対する否定的な反応として「フォロワーが影響されていることには変わりがないじゃないか」というものがあります。
つまり、フォロワーは自分で考えて「この製品は私には要らない」と判断するのではなく、デインフルエンサーに言われたから買わないと決めたにすぎないというわけです。

smartphone 

さて、話は逸れますが、deinfluencerという単語をネットで検索してみたら、日本語の情報としては、『デスインフルエンサー』という映画の話ばかりが出てきました。
原題はdeinfluencerで、deathという言葉はありません。推測ですが、配給会社が映画の内容をイメージしやすくするために選んだのかな、と。
私はこの映画見ていないのですが、写真を見ると怖そうですし。

邦題と言えば、昭和の時代にも数々の興味深い邦題がありました。
有名なのは、1960年に公開されたゴダール監督の『勝手にしやがれ』
原題は"A Bout de Souffle"(息を切らして)
私もこのころはまだ生まれておらず何かで読んだのですが、この邦題に決めるまでかなり難航したそう。それまでの映画とは「違う」この作品にどんなタイトルがふさわしいか。
苦労のかいあってか、今も邦題史(?)に燦然と輝いています。

もうひとつ思い出されるのはサガン原作の小説『熱い恋』
映画化もされています。
原題は"La Chamade"
意味は、降伏を告げるときに鳴らす太鼓やらっぱの合図のこと。
(日本にはありません)
『熱い恋』という邦題は今でも賛否両論のもよう…

売れるタイトルを付けるのは大切だけど、内容と齟齬があると、本来ファンになってくれたはずの人たちを遠のけてしまうリスクもあるのでは。

売れるタイトルをつけたい出版社 vs 著者や訳者の攻防というのは、実用書などでもあると聞きます。

健康法について本を出していたある人が言うには
「出版社に何度も『癌も治る』とタイトルに入れてくれと言われてね」
その一言で売れ行きがぐんと伸びると。
知人は受け入れなかったそうです。

人間って、極端な言葉に飛びつきやすいんですかね。気を付けたいものです。インフルエンサー、デインフルエンサーの話にも通じるところがあります。

とはいえ、あまり売れないと著者も困るのは確か。
結局バランスでしょうか。

そういえば、かつてバルザックは日本で売れない大作家でした。
『21世紀の資本』を書いたフランスの経済学者、トマ・ピケティが取り上げたことで新たに注目を浴びたようです。

学生の時、バルザックの研究をしていた先生はこう言っていました。
バルザックが日本で売れないのは、タイトルが地味すぎるからじゃないか。
なにしろ『ゴリオ爺さん』『あら皮』『従妹ベット』だからなあ。
唯一売れてるのは『谷間の百合』だ。

「天才」とも言われるバルザックですが、売れるタイトルを考え付く才というのは、作家としての才能とまた別モノのようです。

その先生の授業で覚えているのがこれだけとは…
先生、ごめんなさい…

そうそう、バルザックと言えば、
あ、この辺でやめておきます










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