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リーディングのコツ
9月に入り、厳しい暑さもひと段落しましたね。前回のnoteで近年のリーディング傾向をお伝えしたところ反響がありましたので、今回はレジュメの書き方のコツをご紹介したいと思います。
現在小社では年間400件近いリーディングのご依頼があり、リーディングをやってみたいという方にも随時トライアルを受けていただいています。トライアルでは「レジュメのつくり方(依頼書)」と「サンプル」をお渡しし、それを参考にリーディングしていただくわけですが、はじめから完璧なレジュメをつくるのはなかなか大変なんですよね。
リーディングは版権取得を検討するための資料を作る仕事なので、「原書を読んでいない人(編集者)が、短い時間(編集会議)でサッと読み、一読で理解できるもの」を目指す必要があります。
まず小社のレジュメのフォーマットをご紹介しましょう。
■概要
■書籍の概略
■内容
■著者情報
■書籍の特徴と読後の感想
■類書情報
レジュメのコアともいえるのが「内容」ですが、まとめ方には結構個人差があります。私が上手だなと思う方には、以下のような共通点があります。
〇著者の主張がどの章も明確(すべての情報を載せようとしない)
〇著者の主張を裏づけ補完する事例が各章1~2件ずつあり、それぞれの内容が過不足なくまとまっている(社名・人名・内容・結果等を簡潔に紹介)
〇著者の視点でまとめている(レジュメ作成者の視点ではない。「著者は~と考えている」はNG)
〇章数が多い場合(約20章以上)は数章ごとにまとめている
〇「内容」に載せきれなかった重要な情報は、「書籍の特徴」や「読後の感想」に盛り込んでいる
どれも簡単そうですが、常にこのレベルを維持するのは結構難しいのではないでしょうか。一方でよくある失敗は、
◇概略的すぎて内容がわからない(著者の主張を裏づける事例がない)
◇事例を盛り込みすぎてどれも情報が浅くなる(社名だけ・人名だけの羅列)
◇すべての事例が同じトーンでまとめてあるため、優先度がわからない
◇章の冒頭と末尾を翻訳してつなげただけ
◇所々を翻訳してつなげただけ ……等々
原書を読んでいるリーダーさんは、著者の主張も事例もよくわかっているのですが、自分がわかっているからこそレジュメに落とし込む際に抜け落ちてしまうことがあります。
事例がなかったり、事例が社名だけになったり、フィクションの大事な伏線が抜け落ちてしまうのはそうしたことが理由です。レジュメを作成する際は、ぜひ「原書を読んでいない人でも一読で理解できるか」という視点でまとめてみてください。
ちなみにこの夏は感染症に関する書籍はずいぶん減り、ビジネスや経済、サイエンスに関するリーディング依頼が増えています。社会が前に目を向け始めた表れかもしれませんね。
コーディネーター 小口