運動中の発汗と水分摂取
これは私の覚書。内容の扱いについては全て自己責任。
私たちの体のおおよそ60%が水分。
脱水を考えた時、予備知識として、自分の水分量について知っておく必要がある。
男性に比べて女性の方が水分量が少ない。骨格筋の約80%は水分、それに対して脂肪組織は約20%。
体脂肪率が男性より高い女性は、それゆえ、水分量が少なくなる。
また、年齢によっても水分量が違ってくる。高齢になれば、加齢に伴い水分量が低下する。その知識を得ていない高齢者としては、脱水や熱中症のリスクが高くなる。
運動するとなぜ体温が上昇するのか?
詳しい説明は省くが、糖質や脂質の持つエネルギー、実際に運動に使われるのは、約20%。残り80%は、熱になり体温を上昇させている。
その体温をどう発散させるのか?
皮膚の血管を拡張し、皮膚への血流量を増やし、外気に触れさせ熱を外に発散させる。この時、皮膚への血流量が増えるため、筋骨格への血流量が減る。
それを補うため、心拍数が上がる。
皮膚血流量の増大でも体温の上昇が抑えられない場合、発汗が始まる。発汗は、水分が蒸発する際に熱を奪う気化熱を利用し体温を低下させる。
発汗には、無効発汗と有効発汗がある。汗をかいても、ただ流れ落ちるだけの汗は、体温の低下効果が十分に得られない。
体水分量の調整
発汗により水分が失われると、体液が濃縮され浸透圧が上昇。この浸透圧が上昇すると体のセンサーが働き「喉が渇いた」となり、飲水行動が行われる。
捕捉すると、汗には、様々な物質を含んでいるが、塩分を特に多く含んでいる。そのため、水分と塩分の両方が体外へ排出される。
ただし、水分の喪失量の方が多いため、塩分濃度が上昇し、浸透圧が上昇する。
また、浸透圧の上昇が検知されると、バソプレッシンと呼ばれる抗利尿ホルモンが分泌され、尿量を減らす。
尿量を減らすことで、体内の水分を保持させている。
飲水
大量に汗をかいた後、体内の塩分量が減少している。このままの状態で水だけを飲んでしまうと、体液の浸透圧は元に戻るが、ナトリウム濃度が低下する。
ナトリウム濃度が低下しすぎると、低ナトリウム血症状態になり、頭痛や吐き気を起こす場合がある。
その低ナトリウム状態にならないよう、浸透圧が戻ると飲水行動をやめるようになっている。
大量の水だけを摂取した場合、浸透圧がさらに低下するため、それを防ごうとバソプレッシンの分泌が抑制される。
その結果、尿量を増やし水分を体外に排出することで、浸透圧を元に戻す作用が働く。
水分と一緒に塩分も摂取しなければ、体内の水分量は回復しないことになる。
アイソトニックとハイポトニック
アイソトニックは、等張性の意味で、体液と同じ浸透圧。
ハイポトニックは、低浸透圧のことで、体液より浸透圧が低い。
ハイポトニックは、浸透圧の関係で、水分が体内へと移動しやすい。そのため、水分補給に適していると言える。
しかし、アイソトニックも、糖質が加わっている場合、グルコースが血液に吸収されることで、血液が浸透圧が高くなる。
そのため、等張性であるが、水分吸収が促進される。
糖質
グルコース(ぶどう糖)とフルクトール(果糖)は、異なる輸送体によって体内に吸収される。
グルコースだけを摂取した場合、吸収が追いつかず、小腸内に糖質が残ってしまい、下痢・腹痛の原因に。
グルコースとフルクトークを混ぜて摂取した場合、小腸での糖の吸収が滞ることなく、吸収される。
このような手法は、マルチトランスポーター法と呼ばれている。
グルコースとフルクトースの混合比率は2:1が推奨されている。
参考文献:寺田 新(2017).スポーツ栄養学 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる.東京大学出版社