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【BAMBI 100】走れなくなった仲間の思いを形に 〜私設エイドで応援する〜

Trail Storyレポーターのしんしんさんがウルトラトレイルレース「BAMBI 100」に仲間たちと私設エイドを出しました。選手としてレースに出るだけがレースじゃない。そんなレポートをご覧ください。

写真・文=しんしん


「BAMBI100」とは

大阪と奈良をまたぐ生駒山麓で開催される「BAMBI 100」は、「誰にでも挑戦しやすい100マイルを」がコンセプトのウルトラトレイルイベントで、私にとって憧れのレースです。第1回、第2回は、ペーサーとボラティアとして参加しましたが、今年は私がのランニングチーム「深北男塾」で今までとは違う形で参加することになりました。

たっちゃんの思いを形に

10月の夜、100マイルを走る過酷な挑戦に挑むランナーたちの心に灯る小さな光を提供したい。そう、私設エイドを出すことにしたのです。
みんなで発案したこのエイドは、ランナーとして走るはずだった、たっちゃんのレースへの思いと、仲間たちへの感謝が形となったものでした。

たっちゃんは、BAMBI00に当選し仲間たちと共に走る予定でした。しかし、レース直前に体調を崩し、医師からのドクターストップにより100マイルへの挑戦は断念せざるを得ませんでした。体調が許す限りの走りを目指していた彼にとって、DNS(Did Not Start)は苦渋の決断でしたが、その一方で、彼はすぐに思考を切り替えていました。
「自身が走れないのならば、走る仲間たちを少しでも支えることができないだろうか」そう考えたのです。

そこでたっちゃんは、ペーサーを務める予定だった"ふざけたTシャツで走るの会"ジュニ氏、深北男塾と共に、ランナーたちのための私設エイドを計画し始めました。

我々が選んだのはランナーたちが最もキツイと感じるであろう、夜中の3周目のエイド。即席で急ごしらえのエイドでしたが、だからこそ何を提供するか、どうすればランナーたちの疲れを少しでも癒せるかを考え抜きました。

深夜の私設エイドにいらっしゃい

それぞれが仕事や家族の予定を調整し、夜に集まることになりました。仕事終わりに駆けつける者、試験勉強の合間を縫って参加する者、そして子どもの「ミニBambiレース」参加後に急いでやって来た者もいました。皆、それぞれが持てる時間とエネルギーをこのエイドに捧げたました。

エイド本番、次々とランナーたちが現れました。疲れ果てた彼らの顔には、深夜の厳しい闘いの様子が刻み込まれていました。私設エイドでは、選手のための特別なメニューと精一杯の声援でランナーを励ましました。

小さな心遣いだったかもしれませんが、ランナーたちの顔が次第にほころび、見せてくれた笑顔に、メンバー全員が胸を熱くしました。 

この夜、100マイルという過酷な道を歩むランナーたちに、ほんの束の間ではありましたが、我々の応援する気持ちが届いていたらうれしいです。
そして、エイドを出すことで、ランナーへの愛とランニングへの情熱を形にした我々は、誰よりも心が満たされたように思います。

なんと、今年のBambi100の完走率は100%だったそうです。我々の私設エイドがそこに寄与できたかは分かりませんが、少しでも皆さんの思い出に残っていたらうれしい限りです。

【注意】私設エイドは駐車、駐輪など交通ルールを守り、近隣住民への配慮を忘れないようにしましょう。


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