文章が読めるようになるには、まず文章が読めなくならねばならない

はじめに

文章読解は近代人に不可欠の能力です。自己を理解してもらうためには、まず他者を理解しなければなりません。この理解を媒介するものは基本的に「言語」です。ツーカーの仲だけで生きていくことが難しい時代になりました

さて、適切な言語理解の習慣と方策は、受験に役立つだけでなく、一生モノの読解力となります。今回は、高校生が正確な読解力を身につけるためのヒントとテクニックを数点お伝えします。

1. テキストをプレビューする、ざっと目を通す

テキストを読み進める前に、下読みをする時間をとりましょう。

タイトル、見出し、小見出し、図版やグラフを確認します。そうすることで、文章の構成や主旨を知ることができ、より効率的・効果的に読むことができます。

2. 複雑な文章は分解する

複雑な文に出会ったら、その意味を正確に理解するために、文章を細かく分解してみましょう。主語と動詞を探し、従属節や修飾語句を確認します。短めの文に区切ることで、文全体の意味や構造を把握することができます。

3. 積極的に読む、自分事として読む

アクティブ・リーディングとは、読みながら文章に興味を持ち、質問をし、自分のもっている知識と関連付けながら読むことです。先生や親から言われたので、嫌々読むというのは人として情けないです。読むと決めたからには、自分の意志で読んでいると考えましょう。

具体的には…

①重要なポイントに下線を引く、またはハイライトをつける【何が重要かを考える】

②余白や別の紙にメモを取る【自分の手を動かす】

③段落や章を自分の言葉で要約する【内容を他人に伝える】

④疑問点を洗い出す

→積極的に読むというのは、筆者の意見を鵜呑みにすることではありません。

4. クリティカルシンキングスキルを身につける

クリティカルシンキングとは、書かれている内容を鵜呑みにするのではなく、批判的に検証しながら読むことです。読みながら、著者の目的は何か、情報に信憑性はあるか、著者の前提に偏見はないか、論理に飛躍はないか、などと問いかけてみましょう。そうすることで、文章をより深く理解することができ、読解力全体が向上します。

5. さまざまなタイプの文章を読む練習をする

フィクション、ノンフィクション、ニュース記事、学術論文など、さまざまな種類の文章に触れてみましょう。そうすることで、さまざまな文体や構造に慣れることができ、結果的に読解の精度を高めることができます。

6. 読解を振り返る

文章を読み終えたら、読んだ文章を振り返る時間を持ちましょう。主なアイデアやテーマ、読書中に生じた疑問や考えについて考えてみましょう。また、意欲ある友人や先生と議論することで、理解を深めたり、新たな視点を得ることができます。

7. 読書スピードを向上させる

試験や状況によっては、読むスピードが必要になることもあります。スピードを上げるには、一から十まで全て同じ労力で読もうとせずに、緩急をつけることが大切です。拾い読みしたり、ざっと目を通したりして、主要キーワードを探しましょう。

8. 読書しやすい環境を整える

読書環境は、集中力と理解力に大きく影響します。例えば、天井の高い部屋では創造性が、低い部屋では集中力が上がるとされています。

9. 声に出して読む

音源を聴き、声に出して読むことで、発音やイントネーション、言語能力全般を向上させることができます。また、文章のリズムや流れがわかるので、理解しやすくなります。

10. 文脈を手がかりに意味を読み解く

知らない単語やフレーズがあったら、周囲の文章から文脈のヒントを得て、意味を理解しましょう。文の構造、語源、近くの単語からヒントを探します。必ず後で辞書などで確認し、覚えるようにもしましょう。

11. 忍耐強く、根気よく

これらを実践すると、「文章が読めなくなるでしょう」。それが「文章が読めるようになるための条件」です。しっかりと考えているがゆえに、読めなくなるのです。何も考えずに、読めているフリをしている人はこの世に山程います。

さて、英語の読解力を向上させるには、時間と継続的な努力が必要です。基本的に進歩は緩やかです。困難に挫けることなく、粘り強く鍛錬を続ければ、ブレイクスルーがやってきます。或るとき突然、自転車に乗れるようになったような、あの感覚です

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