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春から大学生になるキミへ おすすめの一冊

大学受験シーズン真っ只中のいま、多くの人がこれから入試を迎えるだろうが、中にはもうすでに受験が終わったという人もいるだろう。

受験勉強から解放され、気晴らしに何か本を読みたいと考える人も多いはずだ。

そこで現在大学3年生の私が、これから大学生になる人に向けておすすめする一冊を紹介する。


『宇宙を目指して海を渡る MITで得た学び、NASA転職を決めた理由』著:小野雅裕

この本のタイトルを見ると、「え?MIT?アメリカ留学についての本なんて、そんなの私に関係ないよ。」と感じるかもしれない。

だが、この本の内容にもあるように「学ぶこと」・「夢をつかむこと」の本質は、アメリカも日本も関係ないのだ。

だからこそ留学にあまり興味が無かったとしても、大学進学する人全般に読んでもらいたい。

この本は筆者のエピソードを基に、アメリカの大学院システム、MITの風土、留学の意義、進路と悩み、宇宙開発の意義、などの様々なトピックの章から構成されている。

どの章も興味深く著者の筆力も相まってとても面白いのだが、今回のnoteでは主に2つのテーマを紹介し、その後、私の考えを述べたい。


夢について

「夢」これは、この本を通して一貫して論じられるテーマだ。

筆者は幼いころから描いていた宇宙開発という夢を一度捨てかけている。だが、あることがきっかけとなり、その夢へと再び邁進することを選んだ。
そして、最終的に夢についてこの本の中でこう論じている。

そう、人生における夢の役割とは、航海における灯台の光のようなものだ。叶うことも叶わないこともあろうが、それよりもっと本質的なのは、進み続けることだ。人生の荒波や暗闇の中、針路を定めるために必要なのが、夢という灯台の光なのだ。その光を見失うこともあろう。目的地が変わることもあろう。ならば次の灯台の光を見つけて進めばよい。進み続ければ遠かった灯台の光が少し近くなる。それに気付いた時に小さな充足感を得る。その積み重ねの総量が、人生の面白さなのだと思う。

個人的な話になるが、私は大学入学当初の頃には自分がやりたいとは微塵も考えなかった研究をしている。人生どこでどう考えが変わるのかは、まったく分からない。そしてこれから将来の自分がどのような進路を選ぶのか、それも正直分からないのだ。

だからこそ、「選択それ自体」にこだわるよりも「自分が選んだ場所で夢や目標を立てて、それに向かって進んでいく」ということが自分の人生を生きる上で非常に重要なことだと感じる。そのため、この文章には非常に共感を覚えた。

この本では筆者が最終的に夢を追うことを選ぶまでのプロセスが書かれている。
進路に悩む人や、自分の選び取った道が不安な人にとって、この本は大きな力になってくれるはずだ。


学びの機会について

そもそも高校生の多くは、大学に進学する意義について深く考えたことはないだろう。
ただ、みんなが行くからなんとなくとか、このまま就職するよりも高い給料をもらえるからとか、そういう理由で大学進学という道を選んでいる人が多いと思う。

学びの機会についても、これまで義務教育、高校、もしくは塾と、ずっと当然のように学んできたのだから考えたことはあまりないだろう。

だからこそ、大学に入る前に、学ぶ意義や機会について一度考えてほしい。

この本には筆者がアフリカのガンビアという小国に暮らすとある難民の若者と出会うエピソードがある。

著者は旅の中で、貧しく、フルーツ売りで生計を立てているカシム君という若者と出会う。
カシム君は、その貧しさ故、高校にも進学できなかったが、図書館から本などを借りて独学に励む勉強家であり、知的な英語を使うことが出来る。
夕食の席で筆者の宇宙の話を夢中で聞く彼の様子を見て、筆者は日本の大学生のことが頭をよぎった——。

大学進学できる立場の人間というのは、世界的に見て恵まれた層に属している。大学は同年代の世界の若者の中で、ほんの数~十数%の人のみが行ける場所なのだ。
そして、志があっても恵まれなかった若者は大学に行く道が断たれている。

そんな現実がある中、日本の大学生はどうか。

私は大学に通っていて、所謂「ピ逃げ」、私語、携帯ゲーム、明らかにテストの時だけ受講者が増える教室の様子を見てきた。

まぁ正直言って、他人の人生なので私にとってどうでもいいことだが、多分彼ら学生は大学で学ぶことの意義を見い出せていないから、与えられた機会をそうやって捨てているのだろう。

そんな多数の「学びロス人間」にならないためにも、自分の目標を持つことが重要だと思う。
それが、知を渇望しながらも学ぶ機会を与えられなかった、どこかのスラムの街角で商売する若者に対しての、学ぶ機会に恵まれた者のせめてもの態度なのではないだろうか。

大学に入る前にこの本を読んで、学ぶことの意義や機会を一度考えてみてほしい。

あなたはどんな大学生活を描きたいか

私がこの本を読んだのは、大学2年生の夏休みだった。
それから私は、自分の夢や生き方について考えて目標を立てた。

その後、私は所属する学生団体の副代表に就き3年生の11月で引退した。
団体を運営するうえで多くの困難があったがどうにか乗り越えて、コロナ禍からの復活だけでなく、より進化した活動ができたと思う。

今はもう一つの学生団体に所属しながらも、研究室での活動に集中している。このまま研究を続けていき、将来につなげていきたいと思っている。

大学というのは自分の心持ち次第で、宝の山のようにもなるし、砂漠のようなものにもなるだろう。
どうせなら、大学という環境で自分の可能性を試し、経験という何物にも代えがたい宝を両手いっぱいに得てほしい。

そのためのヒントがこの本にはあるはずだ。
ぜひ読んでみてほしい。

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