
画面の先の、あなたへ
来春、グアテマラにいる先生に会いに行く。私達は数年前から知り合いで、しかし一度も会ったことがない。
私はオンラインでスペイン語を習っている。こちらが朝なら、向こうは夜。寝ぼけ眼でアプリを開くと、お疲れモードの先生が笑う。
私達の授業は、主に脱線でできている。先生は真剣に、楽しげに話を聴いてくれる。私もまた、先生の色々を知った。幼い子供がいること、英語を学んでること、お母さんを病気で亡くしたこと。
ある日、母が末期がんを患ってることがわかった。
勉強どころじゃなかったけど、先生の顔を見るとほっとして、拙い言葉で経緯を話した。喉が詰まってやっと、自分がどれだけショックだったか知った。
授業の後、先生は励ましの言葉とともに、こう送ってくれた。Te quiero。スペイン語の「愛してる」だ。精一杯の思いを込めて、「私も」と返した。
こんなに近いのに、遠くにいる先生。
あなたに会えるまで、あと少し。
いいなと思ったら応援しよう!
